りんご大学ロゴ画像

映画ライター・月永理絵の
「りんごと映画、時々恋」

食べ物としてだけではなく、たくさんの側面を持つ果実。物語の中に出てくるそれは、脇役でありながら観る人に強烈な印象を与える。スクリーンの中でもその存在感は変わらず、観る人を惹きつけるーーー。ここでは、映画ライターの月永理絵さんに、数ある映画の中からスポットを当てていただきます。是非、映画と共に観賞してみてください。

Vol.10 西部の早撃ちガンマンが、りんごを撃ち落とす

© 1939 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』の舞台はアメリカ西部アリゾナ州、出演者の多くもアメリカの俳優たちだが、監督のレオーネはイタリア人、製作国もイタリアだ。実は1960年代から70年代にかけて、イタリアの映画製作者たちが次々に西部劇をつくりだしていた。アメリカの西部劇を真似、スペインなどの荒野で撮影されたこの異色の西部劇は、マカロニ・ウェスタン(スパゲッティ・ウェスタン)と呼ばれ、一つのジャンルを作りだした。

【続きを読む】

Vol.9 真っ赤なりんごと赤い唇の女の子

© 1939 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

それは、1939年に製作された映画『オズの魔法使』を初めて見たときのこと。主人公の少女ドロシーがセピア色の嵐を抜けたとたん、色に溢れた世界が待っていた。見たことのない景色に呆気にとられるドロシーと一緒に、私もまた、突然現れた色彩の饗宴ぶりに呆然と見入ってしまった。10歳のドロシーがひょんなことからオズの魔法の国に迷い込むこのおとぎ話は、児童文学からミュージカルまで、世代を問わず多くの人々に愛され続けてきた。

【続きを読む】

Vol.8 りんご酒をめぐるキツネたちの戦い

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

すっかり寒くなり、りんごが美味しい季節になった。ところでりんごが好きなのは人間だけだろうか。そんなことはないはずだ。りんごが好物の動物は多い。動物園では象や猿のえさにもりんごが使われているし、先日紹介した映画『アダムズ・アップル』を見ると、どうやらカラスも相当のりんご好きらしい。

【続きを読む】

Vol.7 デンマークから生まれた奇妙なりんご映画

© 2005 M&M Adams Apples ApS.

映画のなかで、私たちは知らず知らずにりんごの姿を目にしている。食卓の上に当然のように置かれていることもあれば、登場人物がランチやデザートに齧り付くこともある。前にもこのコラムで書いたが、アメリカの学校の教卓には、しばしばりんごやそれをモチーフにした置物が置かれている。…

【続きを読む】

Vol.6 りんごに齧りつく女たち

© 2019「さよならくちびる」製作委員会

アメリカ映画をよく見ていたせいか、小さな頃、りんごをまるごと囓ることに憧れた。家では毎日のようにりんごを食べていたけれど、食べるときは皮を剥き、8等分に切るのが普通だった。ある日、今日こそは、と子供心に決意し、真っ赤なそれにがぶりと齧りついたときはドキドキと心が踊った。…

【続きを読む】

Vol.5 白雪姫と毒りんご

白雪姫と鏡の女王

りんごの出てくる映画についてコラムを書いています、と言うと、2回に1回は「映画の中のりんご? となるとやっぱりあの映画ですか?」と聞かれる。真っ赤なりんごに齧りつく少女。そう、誰もがよく知る『白雪姫』だ。グリム童話が原作だが、一般的には、ディズニーのアニメ映画のイメージが有名だ。…

【続きを読む】

Vol.4 りんごを磨く人とは誰のこと?

グッドウィルハンティング

映画のなかで、外国語の表現を知るのは楽しい。たとえば、子どもの頃に大好きだった『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督、1985年)。マイケル・J・フォックス演じる主人公が、いつもある言葉を言われると我慢できずにキレてしまうのだが、吹き替え版ではたしか「腰抜け」と言われていた。大きくなり、字幕版を見て気がついた。実際に主人公が言われていたのは「Chicken(チキン)」という言葉。英語では、「Chicken=腰抜け」という意味で使われるのだと教えてくれたのは、学校の授業ではなく、たしかにこの映画だった。…

【続きを読む】

Vol.3 バカンスとシードルは甘くない

ミツバチのささやき

大きな鞄に荷物をたっぷり詰め込んで、友達と、恋人と、田舎町へのんびり遊びに行く。山でピクニックをしてもいいし、海で日光浴をしたり、家のなかでひたすら読書を楽しんだっていい。とにかく仕事や勉強のことは忘れて2、3週間、ただ飲んで食べて寝て、をくりかえす。最高に楽しくてすてきな、あこがれの、夏のバカンス。そんなバカンスへのイメージがどうやら幻想にすぎないらしい、と気づいたのは、フランス映画を見始めたからだ。…

【続きを読む】

Vol.2 りんごは、大人と子どもの友情を紡ぐのか?

ミツバチのささやき

りんごを手にした子どもたち。その光景を想像するとふと笑みがこぼれそうになる。子どもとりんごという組み合わせに、純真無垢さの象徴を感じるからだろうか。子どもの手に握られると、小さなりんごでも妙に大きく見える。そのアンバランスが可愛くもあり、どこか懐かしい気持ちにもさせられる。 古今東西、大好きな映画は山のようにあるけれど、そのなかでも不朽の一本がある。…

【続きを読む】

Vol.1 アメリカ映画とりんごのパイ

怒りの葡萄

古き良きアメリカなんて、そんなもの、小説や映画やテレビドラマの中の理想化された姿にすぎない。そうわかってはいるのに、やっぱり憧れてしまうのだからしかたがない。では「古き良きアメリカ」の象徴といえばなんだろう? まず浮かぶのは、ジュークボックスを備えた昔ながらのダイナーレストラン。そこで食べるのは、ハンバーガーやステーキ、ビール。それからもちろんアップルパイも。でも、アップルパイなら、…

【続きを読む】

バックナンバー


プロフィール

月永理絵

エディター&ライター。『映画酒場』『映画横丁』などの雑誌や、書籍の編集をしながら、ライターとしても活躍している。大学卒業後に小さな出版社で働く傍ら、映画好きが高じて映画評の執筆やパンフの編集などをするように。やがて会社を退職し、現在はフリーランスで活動中。青森市出身で、現在は東京都在住。

映画酒場編集室  http://eigasakaba.net/

新着情報

〈新ブログ一覧〉
〈旧ブログ一覧〉

海外のウェブサイト

繁体中文簡体中文English

りんご大学からのおすすめ

Page Top