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第103号 エルトン・ジョン最終ツアーを鑑賞! 

今年の初夏、5月から6月にかけて、スウェーデンでは温かい日々が続きました。今年の夏も昨年同様暑くなるのではと、ちょっと心配もしていたのですが、6月の夏至祭も終わった頃から気温も少し下がり出し、雨降りの日々が多くなりました。8月始めには当地も含めたスウェーデンとノルウェーで強風と共に豪雨に見舞われ、当国の中部地方では土砂崩れで列車が脱線、西海岸では洪水の為鉄道と高速道路が一時閉鎖されました。

幾度か夏に日本を訪れている家内は、「日本の台風みたいね…」と話していました。1日の降雨量が100mm 近くまで上がり、国の気象庁からは50年、100年に1度の大雨だと、赤字の警告が出されました。気候変動の兆候が北欧にも少しずつ現れているのかも知れません。

ストックホルム市内(遊覧船からの風景)

そんな夏の7月7日の金曜日、朝8時半に当地から首都ストックホルムへと家内と共に車を走らせました。目的は夕方首都で行われる、英国歌手エルトン・ジョンの最終ツアー鑑賞の為です。我々夫婦へのチケットは、既に2019年のクリスマスプレゼントで、4人の子供達から貰ったのですが、2020年にストックホルムで行われる予定のツアーが新型コロナのパンデミックで流れ、更にエルトン・ジョンが体調を崩したりで、ストックホルムのツアーは流れたのかなとも思い、忘れていた所でした。

入場前に3人で

音楽コンサートでは40年程前に、隣国のコペンハーゲンで英国のロックバンド、ローリング・ストーンズを鑑賞したのがとても印象に残っています。当時南スウェーデンの大学街ルンドに住みはじめ、工科大学への入学前で日々スウェーデン語の勉強に追われていました。そんな時、コペンハーゲンでのローリング・ストーンズのコンサートは大きな体育館が会場で、購入したチケットは舞台の最前列近くの端っこの方で、巨大なスピーカーが目前に幾つも積みあげられ、鼓膜が壊れるのではと感じる程でした。ビートルズやローリング・ストーンズに浮かれていた弘前での高校時代を過ごし、その後実際に生演奏を聴けるという興奮があったと思います。

ルンドは大学街と共に割と文化的にも知られているのか、世界的にも有名な歌手が幾人か訪れていました。例えばカナダ人歌手レナード・コーエンもその1人でした。当時あまりコーエンについては知らなかったのですが、彼のメランコリックな演奏と、日本酒に合う様な声(失礼…)の生演奏を見聞きして、その後すっかりコーエンに夢中になってしまいました。

そんな思い出もあって車を首都へと走らせました。もっとも本音を明かすと、エルトン・ジョンの音楽、演奏については殆ど知らず、翌日長女から、「パパ、エルトンのどの歌が気に入った?」と聞かれ返事に詰まってしまいました。それでも、エルトン・ジョンの迫力ある歌声とピアノ演奏、そして観客へのサービスとでも言うのか熱演の合間に舞台を歩き回り、観客に向かって色々なポーズを取り話しかける姿には、今までのコンサートではあまり見た事がない音楽家、サービスマンとも感じました。

3万人の観客と迫力のあるステージ

後日知った事ですが、首都ストックホルムでの7月7日、8日のコンサートは、76歳のエルトン・ジョンにとって、50年以上に及ぶ演奏生活の最終公演でした。その2時間以上に及ぶコンサートは、3万人程の観客と共に筆者にとっても忘れられない思い出となりました。

かつて1997年、イギリスのダイアナ元妃の葬儀の生中継で、エルトン・ジョンが歌ったのを覚えています。その時は感情的な歌声に心が動かされましたが、今回はストックホルムでその生演奏を体験し、高齢にも関わらずエネルギッシュに休む事なく演奏し続け、サービスに徹していたエルトン・ジョンには感動せずにはいられませんでした。もしかしたら今後筆者はエルトン・ジョンのファンになるかも知れません…。

2023年8月25日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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