Vol.7 --- 新年最初の運だめし
フランスには、キリスト教の暦にちなんで食べるお菓子がいくつかある。クリスマスのビッシュ・ド・ノエル、復活祭のチョコレート、そして、今回紹介する降誕祭のガレット・デ・ロワが有名だ。
降誕祭は、キリストの誕生を東方三博士が祝した1月6日。フランス語でエピファニーと呼ばれる。この日に食べるお菓子が、ガレット・デ・ロワ。直訳すると”王様たちのひらべったいお菓子“。王様は、東方三博士のこと。
ガレット・デ・ロワは、丸くカットした薄い折パイ生地(フイタージュ生地)2枚の間に、アーモンドクリーム&カスタードクリームを混ぜ合わせたものをフィリングして焼いたもの。中には、フェーヴと呼ばれる小さな陶器や金属のオブジェがひとつ隠されている。数人で分け合って食べるお菓子で、フェーヴが当たった人は、その場の王様&王女様。ガレットを買うと一緒についてくる紙製の王冠をかぶれる。
フランス北半分では、この折パイ生地で作るガレット・デ・ロワが主流だが、南半分では、オレンジフラワーを香らせたリング型のブリオッシュに果物の砂糖漬けをたっぷりあしらったタイプが多くなる。
1月5日のみならず、1月初旬から後半まで、パティスリーやブーランジュリーのウィンドーを多い尽くすガレット・デ・ロワ。家族で、友達と、職場でと、食べる機会がとても多い。定番味では飽きてしまうので、多くの店で、チョコレートクリームやマロンクリームなど、味のヴァリエーションを提案している。リンゴを使ったガレット・デ・ロワも、旬のフルーツということもあって、時々登場する。今年見つけた、チャーミングなリンゴ味ガレット・デ・ロワを紹介しよう。
ショコラの名店「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」は、リンゴ模様を配した表面がキュート。折パイ生地の間に、パン・デピス(スパイスをたっぷり効かせたケーキ)&ポモー(リンゴのリキュール)で香りをつけて焼いた柔らかなリンゴのクリーム。
同じくショコラ専門店「アン・ディマンシュ・ア・パリ」では、珍しい正方形型に、金色のパウダーでリンゴを描いた表面。アーモンドクリームに、塩バターキャラメルとリンゴを混ぜ合わせたクリームだ。
定番風味とは一味違う、リンゴのフレッシュ感を楽しめる魅力的なガレット・デ・ロワだ。
(2013/1/26)