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Vol.4 --- リンゴ生まれのアルコール

 フランスで、果物で作るアルコールといえば、まずはやはりブドウからできるワイン。そしてその次に最もポピュラーなのは、リンゴから出来るシードルだ。
 リンゴを発酵させたアルコール飲料。アルコール度数は4度前後と軽く、ビール感覚でゴクゴク飲める。ワインと同じく、食用ではなくシードル専用のリンゴ品種がいくつかあり、それらが原料となる。

スーパーに並ぶシードル
スーパーに並ぶシードル。
安いもので750mlを3ユーロ前後で買える。
日本円にして約310円程度。

 産地で最も有名なのは、リンゴの名産地、フランス北部のノルマンディー地方。中でも、ペイ・ドージュと呼ばれる一帯が名産地。辛口、半甘口、甘口とあるが、最もポピュラーなのは辛口。そば粉でつくるクレープ(ガレットと呼ばれる)で、ハムやチーズ、卵などをくるんだ料理と一緒にいただくのが定番だ。
 また、この地域の特産チーズであるカマンベールやポン・レヴェックなどとの相性も抜群。
 リンゴが原料のアルコールには、シードルのほか、ポモーとカルヴァドスがある。
 ポモーはリンゴの絞り汁とカルヴァドスをミックスした、ちょっと甘めのお酒でアルコール分は15~20%ほど。よく冷やして、アペリティフに好まれる。

シードル

 カルヴァドスは、リンゴのブランデー。
 アルコール分40度以上とハード。少量を口の大きなグラスに入れて、手で温めながらなめると、リンゴの爽やかなかぐわしさが楽しめる。
 シードル、ポモー、カルヴァドスは、そろってAOC(原産地統制名称)を有しており、生産地域や製造方法などが厳しく管理され、上質な製品作りが行なわれている。
 ちなみに、シードル=ノルマンディー地方、のイメージが強いが、実はスペインと国境を接した南西部バスク地方も、シードルが特産。ノルマンディーのものよりもきりりと酸味が強く、キリリとストイックな感じの味わいだ。
 また、この地方ではマンザナという青リンゴのリキュールもあり、爽やかで甘い味にファンが多い。

スーパーに並ぶシードル

(2012/10/22)

加納 雪乃
Yukino Kano

神奈川県出身 パリ在住。
専門はフランスの食文化、バレエ。
サラリーマン時代に、95~97年、パリ事務所の駐在員として初めてフランスに滞在。 フランスの食文化の魅力に感動し、その魅力を広く伝えたいと思うようになり、帰国後しばらくしてから退社。 改めて自分で渡仏し、2000年からライターとして活躍している。
著書:「パリオペラ座バレエと街歩き」「パリ スウィーツの話」(ともに集英社 be文庫にて発売中)

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