Vol.12 --- アルページュのリンゴタルト
パリに10軒ある、レストランガイド「ミシュラン」の3つ星レストラン。
そのうちの1軒「ラルページュ」のオーナーシェフ、アラン・パサールは、リンゴを主役にした素晴らしいデザートを、2007年に創作した。”タルト・ブーケ・ド・ローズ“だ。
直訳すると、”バラの花束のタルト“。バラの花のように見えるのが、リンゴ。リンゴを皮付きのままリボンのように薄く長くカットし、くるくる巻いて横から見ると、なるほどバラの形に見える。これを、折り込み生地の上に並べて焼く。サクサク生地と、しっとり香り高く焼きあがったリンゴ。粉砂糖を振り、ドラジェ(丸ごとのアーモンドにお砂糖の固い皮膜を施した砂糖菓子)やキャラメルをあしらって完成だ。
リンゴのタルトはあまたあれど、これほどまでに美しさと独創性を兼ね備えたものはない。
さすがは3つ星シェフの作品だ。
アラン・パサールは、野菜料理の巨匠として名高く、ブルターニュ地方やノルマンディ地方に自家菜園を持っている。馬が土を耕し、エコシステムが完成した、素晴らしい有機農法で、リンゴをはじめ、500~600種もの野菜や果物、ハーブを育てている。
野菜とあわせてサラダにしたり、このタルトのようにデザートに利用。3つ星シェフの発想を受けて、リンゴは、思いがけない形や美味しさに、その姿を昇華させている。
(2013/11/18)