Vol.17 --- 手軽に楽しめるクレープとシードル
フランスの名物料理の一つ、クレープ。小麦粉やそば粉の生地を極薄に丸く焼いて、中にジャムや砂糖、チョコレートなどを入れてお菓子風に仕上げたり、また卵やハム、チーズなどをトッピングして料理として提供するものがあり、小麦粉ベースで甘い味付けにするものをクレープ、そば粉ベースで塩味のものをガレットと呼び分けることが多いです。
屋台や専門店などで気軽に食べられるクレープ&ガレットですが、これに相性のいいドリンクといえば、なんといってもシードルです。クレープ&ガレットもシードルも、フランス北西部のノルマンディ地方とブルターニュ地方の特産。ワインと料理もそうですが、同じ土地の食べ物と飲み物は、非常に相性がいいです。
りんごを発酵させたアルコールドリンク、シードル。爽やかで甘やかなりんごの香りが鼻に心地よく、アルコール度数が4〜6%が主流で飲みやすいのも魅力の一つです。パリッと焼けたそば粉生地の質感に軽く発泡したシードルの軽やかさが合いますし、柔らかな小麦粉生地の甘みにシードルの甘酸っぱい爽快感がよく合います。
クレープとガレットを食べられる専門店をクレープリーと呼びますが、そこで飲むドリンクといえば、ほぼ100%シードルで、そのラインナップも豊富です。シードルを注ぐ器は、ワイングラスやコップの形のグラスも使いますが、陶器製の丸いボウル型が伝統的です。同じように、クレープ&ガレットも、素朴な陶器製の皿で提供されることが多いです。
パリきっての人気クレープリー「ブレッツ・カフェ」は、ブルターニュ地方とノルマンディ地方のシードルを20種ほどもメニューに載せています。それぞれのシードルに、“まろやかで爽快”、“辛口で風味豊か”、“デリケートでコクがあり樽香がある”、“フルーティーで爽快”、“強い味わいと骨格”など、特徴も記されていて、シードルといっても、りんごの品種や醸造法などによって、その個性や味わいが多種多様なのをしっかり示し、ワインを選ぶように好みのシードルを選べるようになっていて、その魅力を強く発信しています。
「ブレッツ・カフェ」には食材店も併設しており、クレープリーで飲んで気に入ったシードルをテイクアウトすることもできます。
熱々に焼けたチーズなどが入ったガレットや、りんごのコンポートとキャラメルをトッピングしたほんのり暖かなクレープを頬張りながら、キリッと冷えたりんごの魅力満載のシードルを味わうのは、寒い冬にピッタリ。
クリスマスを控えたパリは、シャン・ゼリゼ大通りを始め、町中がイルミネーションに包まれ、華やかな雰囲気に包まれています。
(2016/12/22)