Vol.22 --- 人気者の菓子パン「ショソン・オ・ポム」
ヴィエノワズリーと呼ばれる、フランスの菓子パン。日本のように種類豊富ではなく、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ブリオッシュ、パン・オ・レザン(レーズンパン)、そしてショソン・オ・ポムが定番です。
ショソン・オ・ポムは、“りんごのスリッパ”という名前の通り、スリッパを思い起こさせる形のパイ生地に、りんごのコンポートをたっぷりフィリングしたもの。歴史を紐解くと、17世紀前半に、ブルターニュ地方で作られ始めた、という説が強いようです。
お菓子屋さんでもパン屋さんでも人気者の菓子パン、ショソン・オ・ポム。2016年にフランスを代表する新聞「ル・フィガロ」が行った“パリのベスト・ショソン・オ・ポム”コンクールで一位に輝いたのは、名門菓子店「ラデュレ」でした。
バターをたっぷり使ったパイ生地はグーンと膨れて、さっくさくで軽やかな、まさに極上のパイ。中のりんごのコンポートは、りんごの自然な甘酸っぱさを生かしたジューシーな食感。名門老舗お菓子屋さんらしい高い技術力を感じられる、生地もりんごも抜群のショソン・オ・ポム。
コンクール一位、というのも納得の味です。
パリの大注目パン屋さん、「デュ・パン・エ・デ・ジデ」のショソン・オ・ポムも、このパン屋さんの名物アイテムとして大人気です。
この店のショソン・オ・ポムの特徴は、さっくりしっとり焼き上げたパイ生地の中のりんごが、コンポートではなく、皮付きのままカットしたものをそのまま入れて焼き上げている点。しっかり目のパイ生地に包まれて加熱されたりんごは蒸焼きのような状態に。りんご本来の美味しさを、限りなくシンプルに味わえる仕立てです。
りんご、バター、そして小麦粉。りんごの味を引き立てる、シンプルで完成度の高い菓子パン、ショソン・オ・ポムは、フランス人に愛されるりんごスイーツです。
(2018/2/3)