用語集
アシガヤ
マメコバチ(りんごの人工授粉の際に使われる蜂)の巣筒です。使われるのは葦(アシ)の茎です。
一律基準(いちりつきじゅん)
ポジティブリスト制において、残留農薬基準値が設定されておらず、かつ暫定基準値が設定されていないものに対して、「人の健康を損なうおそれのない量」=一律基準、として0.01ppmが適用されます。
例:0.01ppm→10tダンプカー10台分の砂に、1gの物を入れた濃度
急性毒性(きゅうせいどくせい)
農薬そのものを口に入れたり、吸いこんだりした際に短時間で現れる毒性のことです。
特に、農薬を実際に使う側の人や製造する側の人の安全を守るために重要とされています。
黒星病(くろほしびょう)
葉や果実に黒色の斑点を生じる病害です。開花期前後が低温・多雨に多発します。
検疫(けんえき)
伝染病の病原体や有害物質が持ち込まれるのを防ぐために、港や空港などで、旅客・貨物などを検査すること、また、必要に応じて隔離・消毒その他の措置を行うことです。
暫定基準(ざんていきじゅん)
ポジティブリスト制において、残留農薬基準値が設定されていないものに対して、国際基準であるCodex(食品の品質に関する国際的な基準)や農薬登録保留基準※、先進諸外国の基準を参考として、暫定的に設定された基準値のことです。
※農薬登録保留基準:農薬を販売するには農林水産大臣に申請し、登録を受ける必要があります。この時、農産物、土壌、水質への汚染や、人畜または水産動植物に被害を生ずるおそれはないか等の判断が行われます。この判断のもとになるのが農薬登録保留基準です。
CA貯蔵(シーエーちょぞう)
CAはControlled Atomosphereの頭文字で、「空気調整」という意味です。外気を遮断して低濃度の酸素、高濃度の炭酸ガスに調整した人口空気の中で低温貯蔵することで、青果物の呼吸を最小限に抑制し、鮮度の低下をおさえる貯蔵方法です。貯蔵できる期間は普通冷蔵の約2倍です。
シャクトリムシ
幼虫が新しい若い葉を食害する害虫です。
植物防疫法(しょくぶつぼうえきほう)
輸出入植物や国内の植物を検疫し、作物に有害な動植物を駆除し、広まるのを防ぐための法律です。
主穀重点主義(しゅこくじゅうてんしゅぎ)
穀物の生産に集中的に力を注ぐ考え方ややり方のことです。
収穫期による品種の分類
極早生種…8月上旬~8月中旬
早生種…8月下旬~9月下旬
中生種…10月上旬~10月中旬
晩生種…10月下旬~11月中旬
シンクイムシ類
卵からふ化した幼虫はすぐにりんご内部に食入します。モモシンクイガは台湾向け輸出の検疫に指定されている害虫です。台湾での輸入検査でモモシンクイガが発見された場合、1回目で当該県が、2回目で日本全国が輸出禁止となります。
人工授粉(じんこうじゅふん)
りんごは同品種の花粉で結実しないことから、異なる品種の花粉が必要となります。結実量を安定させるために、異なる品種の花粉を一つ一つめしべにつける作業のことです。
粗放経営(そほうけいえい)
綿密な計画のない、大ざっぱな経営のことです。
デリス
マメ科の蔓(つる)植物で、根が殺虫剤の原料になります。
毒性試験(どくせいしけん)
人や家畜に対する毒性を調べるために行われる試験のことです。
大きく分けて、短期間に多量の農薬を摂取した場合の毒性(急性毒性)、少量であっても長期間に農薬を摂取した場合の毒性(慢性毒性)を試験するものがあります。
急性毒性試験は主に農薬を使用する人への影響、慢性毒性試験は農薬が使用された農作物を食べる人への影響を調べるものです。
トレーサビリティ
トレース(追跡)とアビリティ(可能性)の合成語で、追跡可能性と訳されます。
食品や工業製品などの生産・加工・流通・販売、あるいは廃棄までの過程を明確に記録し、履歴情報を確認できるようにすること、またはそれを実現するための制度やシステムのことです。
斑点落葉病(はんてんらくようびょう)
葉では円形、褐色~暗褐色の小斑点を生じ、病斑が多くなると落葉が激しく、被害が大きくなります。王林などの黄色品種では病斑部周辺が赤褐色になり商品価値が低下します。
飛散(ひさん)・ドリフト
農薬散布時に目的以外の作物や、隣接する圃場(ほじょう)※に農薬が飛び散ってしまうことです。
※圃場:農作物を栽培するために区画された農地
ppm(ピーピーエム)
ppm(ピーピーエム)は、百万分率のことで、100万分のいくらであるかという割合を表す単位です。1ppm=0.0001%となります。農業では残留農薬の濃度を表す時に使われます。
ppmはparts per million(パーツ・パー・ミリオン)の略称です。
腐乱病(ふらんびょう)
枝や幹が枯れる病害です。剪定などの新しい切口から侵入しやすいです。
ペクチン
植物の細胞間にある多糖類で、果物や野菜に含まれます。食物繊維の一種で、水溶性と不溶性があります。生活習慣病の予防や腸の健康を守る働きがあります。
防除(ぼうじょ)
農作物の病害・害虫の予防および駆除のことです。
防虫菊
キク科の多年草で、古くから殺虫効果があることで知られ、現在も世界各地で殺虫剤の原料として栽培されています。明治時代、これを元に蚊取り線香が発明されました。
ポジティブリスト制度
食品から、基準が設定されていない農薬等が一定量以上検出された場合、その食品の流通を原則禁止する制度のことです。以前のネガティブリスト制度では、食品から農薬等が検出されても、その農薬等に基準が設定されていない場合、流通は規制されませんでした。
ポリフェノール
イソフラボン※1、カテキン※2、アントシアニン※3など、植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。糖分の一部が変化したもので、植物自身が生きるために持っている物質です。ほとんどの植物が持っており、5000種類以上あります。
人間が摂取すると細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があることが明らかになっています。
※1 イソフラボン:更年期障害対策効果、美容効果などがあるとされています。代表的な食品は大豆、豆腐などです。
※2 カテキン:殺菌作用、高血圧予防効果などがあるとされています。代表的な食品は赤ワイン、緑茶などです。
※3 アントシアニン:疲れ目の解消、肝機能向上などに効果があるとされています。代表的な食品はブルーベリー、紫イモなどです。
慢性毒性(まんせいどくせい)
急性毒性には達しない量でも、連続してとり続けると蓄積されて急性毒性を発現する濃度に達して中毒することが考えられます。これを亜急性毒性といい、通常数日~数か月程度で毒性が出る場合を指します。
亜急性毒性を示さない程の少量でも、さらに長期間摂取し続けると身体に障害が出る場合を慢性毒性といいます。
無袋栽培(むたいさいばい)
サンふじなど「サン」が付くりんごで、袋をかけないで栽培されたりんごです。太陽をたくさん浴びており、甘く美味しいりんごになります。
モニリア病
葉、花、果実に発生が見られ発病すると腐る病害です。
発芽し、葉が出る頃(展葉期)から開花直前の頃にかけて葉に褐色の初期病斑を生じ、大きく拡大して葉腐れとなり、やがて花そう(芽から5~7個の花がまとまって咲いている部分)全体が衰えてしぼみ、枯死して花腐れとなります。実腐れは、花が落ちてから10日後の頃から発生して幼果全体へと腐敗が拡大します。
雪解けの遅い年や発芽から開花期が低温で雨の多い年に多発します。
有機合成農薬(ゆうきごうせいのうやく)
人工的に合成された農薬のことです。現在の約9割の農薬が相当します。
有袋栽培(ゆうたいさいばい)
袋をかけて栽培することにより、外観が鮮やかなりんごになります。また、病害虫から果実を守ったり、無袋栽培より貯蔵期間を延ばすことができます。
りんごの蜜(みつ)
りんごの蜜はソルビトールという糖アルコールの一種です。蜜自体は甘くありませんが、蜜を含む果実は、熟度が進み甘み成分を多く含んだものであるという証になります。
ハチミツのような色をしているため、蜜と呼ばれます。
「ふじ」や「北斗」は蜜が入りやすい品種です。
リンゴワタムシ
幼虫がりんごの幹や枝などの隙間に潜んで越冬し、4月下旬頃から綿状の分泌物に覆われた集団を形成して枝や幹、根の汁を吸い、害を及ぼします。汁を吸われた部分は大きく盛り上がり、コブ状になった場合は、翌年に発芽しないこともあります。