会津宏樹の
りんご高密植栽培日記

時限
2024.11.21

高密植栽培も4年目。
凍害になったのは春に二本発見し、
発芽してからわかったのが一本と、
発芽する前から枯れていたのが一本。
欠木した二本は、
植えて3年のところから植え替えしてきました。
来年は更に三本くらい
植え替えしないといけない予定です。
植えて三年目の方には
来年の春までには植えないといけませんね。
こうして凍害になる確率は非常に高いのが、
この高密植で使われる台木の特徴である。

一昨年は大雨による湿害と、
昨年は猛暑による干ばつ。
どちらも根っこにダメージが出る。
ダメージがあると貯蔵養分が上手く貯められず、
凍害になりやすくなるだろう。

先日高密植をしている仲間たちで集まった時に、
肥料をどうしていますか?
という話になった。
結構まちまちで、
自分は春の施肥はしていない。
他は尿素を撒いたり、
堆肥を撒いたり。
最近同世代では無肥料栽培も多くなったと感じている。
無肥料でも全然りんごは育つ。
丸葉栽培ではこの15年ほど施肥していないし、
使っていても窒素がすぐ効いて
秋までには切れる有機肥料だ。
昨年の高密植の園地では
マグネシウムと有機肥料を夏場に施肥した。
雨が降らなかったので、
タイミングがズレて夏になってしまった。
どちらかというと
微生物の良い餌になってほしいという気持ちで、
有機肥料は施肥している。
根元に除草剤を散布しているので、
紫外線のせいでどれだけ微生物が活動しているかは
首を傾げるところではある。

この土壌の話になると、
農業は途端に宗教になる(笑)
10aの園地でも掘り返したら色んな層になっているだろうし、
人が十人十色違うように、
どこも同じような土はない。
数種類には分けられるが、
うちの園地は500m間隔で数園地あって、
同じ沖積土壌地ではあるが、
水はけ具合が全く違っている。
マクロな視点もあるし、
ミクロな視点もある。
途端に数値化できない分野だ。
同じ園地でも日陰と日向で耕盤層の違いがあるくらいだ。
そのくらい微妙な差で土壌の環境は変わる。

大学院まで行って土壌について学んだ友人が、
農家になった時に学問は捨てたと言っていたのが印象的だった。
農業になった途端、
学問じゃ食っていけないと思ったそうな。
ちなみにその友人は、
丸葉とわい化の3haを三人で管理し、
ほぼ有袋栽培で経営している。
頭が良いのに力技だと思った。
むしろ頭が良いから力技なのかもしれない。

高密植に向いている園地や土もあるだろう。
傾斜地よりは平地が良いだろうし、
水はけが悪いよりは良い方が良い。
うちは平地ではあるが水はけがすこぶる悪い。
多分今後暗渠は必要だろう。
高密植栽培はお金が掛かる(笑)
でもお金を掛けると木が弱るリスクを減らせます。
果樹で一番のロスは木が枯れることだろう。
苗木代はまだ安いものだろうけど、
結実して最高収量になるまでは時間が掛かる。
時間とお金が掛かるけど、
丸葉ほど時間は掛からない。
40歳近くなると自分の定年のことを考える。
「今から丸葉を植えても、20年後60歳だ」
と友人が言っていた。
もうわい化しか植えられないと。
自分もそう思っている。

まだまだ若いつもりが、
りんご栽培において、
もう先が見えていることが
これほど悲しいことだと知らなかった。
自分のりんご栽培のタイムリミットを感じる。
自分の身体が時限爆弾に見える。

PROFILE
会津宏樹のプロフィール

板柳町のりんご農家(アルファーム)。

22歳の時に祖父の跡を継いで70aのりんご畑からスタートし、現在2.4ha。

全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)63代目会長、
農水省の働き方改革委員や西北五地域活性化委員も務める。

4Hクラブの研修で長野県に行った時に、高密植栽培を見て興味を持つ。

現在農業に興味のある県外の大学生のファームステイを受け入れており、
りんごの現場を体験させたり、青森を知ってもらう活動をしている。

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