りんご高密植栽培日記
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2023.10.25
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今年の春は異常な早さで到来。
3月20日にはほとんど雪がありませんでした。
そうなると発芽するのはすぐだったので、
いつもは4月上旬にやるつもりの芽キズ入れを
3月下旬に行いました。
この芽キズ入れ、やるのとやらないとでは、
数年後、成木になった頃に差が出てくるでしょう。
高密植栽培の2、3年で一番大事なポイントだと思います。
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この芽キズ入れはなぜやるのかというと、
枝を出させるために行います。
こちらは昨年芽キズを入れたところです。
立派な枝が出て、
来年ここにはりんごが実ることでしょう。
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りんご主幹の芽がないところ、
芽が出そうな跡があるところの上に
キズをつけます。
自分は彫刻刀の丸刀でグッと押し込む程度で
キズを付けています。
これで5月下旬には芽が出るはずです。
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この芽から枝が出ても良いし、
葉っぱが出るだけでも大丈夫です。
一安心。
その前後に強い枝がない限り、
その芽は次の年でも伸びてくれるでしょう。
逆にその発芽したところの前後に強くて太い枝があると、
そちらにばかり水が流れて、
発芽しても伸びていきません。
そこで必要になってくるのが剪定だと思います。
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この高密植栽培の樹、
何年まで育てるかを考えて栽培しないといけません。
丸葉だと30年なんてよくある話で、
100年の樹もあるくらいです。
わい化の樹も大先生の園地だと、
20年でも綺麗な形をしていて、
伐採して植え替えるようなことはしなくても
良さそうな樹もあります。
この経済寿命を長くするのであれば、
必要ないといわれる剪定は、
必須であると思うようになってきました。
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今植えて三年目ですが、
もっと枝が出て欲しかったと思っています。
マニュアル通りに昨年はほとんど剪定せずでしたが、
側枝が多い方が樹勢をコントロールできるし、
数年後実らせる場所が多くなることを考えると、
二年目でも剪定しても良いし、
どんどん剪定していくべきだと思いました。
そして、これは賛否両論あるかもしれませんが、
フェザー苗じゃないほうが、
実るまで一年多く掛かりますが、
管理しやすい栽培が出来るのでは?
と思います。
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しかし、剪定で経済寿命を長くしても、
またそこに技術が必要となると、
規模拡大や技術の継承が難しくなるのでは?
という懸念もあります。
結局また園主だけが剪定してって感じだと、
あまり意味のないように感じます。
丸葉栽培では剪定が難しすぎて
規模拡大を阻んだと言っても過言ではありません。
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この樹の育て方の考え方は、
まだ点でしかありません。
点と点が繋がると面になります。
りんごの栽培は面で考える必要があります。
さらに言えば、
その園地や経営体の状態で考える必要があるので、
より多角的に見る必要があります。
面と面を合わせると立方体になります。
経営は立方体で見て判断しなければなりません。
そう見た時に、自分に高密植栽培は必要かどうか。
いろいろ考えないといけないことが沢山あって、
りんご農家って忙しいですね。
PROFILE
会津宏樹のプロフィール
板柳町のりんご農家(アルファーム)。
22歳の時に祖父の跡を継いで70aのりんご畑からスタートし、現在2.4ha。
全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)63代目会長、
農水省の働き方改革委員や西北五地域活性化委員も務める。
4Hクラブの研修で長野県に行った時に、高密植栽培を見て興味を持つ。
現在農業に興味のある県外の大学生のファームステイを受け入れており、
りんごの現場を体験させたり、青森を知ってもらう活動をしている。