vol.1 ブーム野菜の影で
6月に入り、鬱陶しい梅雨の季節になりました。
りんご畑では摘果作業もピークを迎え、猫の手もかりたいほどの忙しさ。青森は、春先から雨が少なく、りんごの成長にどう影響してくるか心配ですが、乾ききった畑を見ながらつくづく、お天道様には敵わないと思い知らされているところです。
私が普段、仕事をしている種苗販売の現場では、今年も「ある、ブーム」が巻き起こりました。「えごまブーム」です。日本は世界に名だたる長寿社会ですが、おそらく、その根底にあるのは医療の発達とともに「健康で長生きする」ことへの執着なのではないか…と思います。テレビの健康情報コーナーで紹介された野菜や果物は、次の日には種苗店に問い合わせが殺到します。特に「認知症の予防に効果がある」などと紹介されれば、認知症恐怖症候群の我々は、リスク軽減のために何としてでも食べなければならない!と思ってしまうわけです。これまでもごぼうのタネ(煎じてお茶として飲む)・スプラウト・ケールなど、様々な野菜が健康野菜として取り上げられ、爆買いの対象となってきました。そして今年は「えごま」が脚光を浴びる否や、引きも切らず「えごま」を求めるお客様がご来店されています。
一方、サプリメントや健康食品の機能性表示が緩和されたため、世の中には「健康に良い」とされるものが沢山出回り始めました。「医食同源」という言葉があるように、人間が身体に入れる食べ物と病気には少なからず、因果関係があります。個人個人のライフスタイルが異なる中での予防医学は大変難しいものです。その点、疫学的な調査で効果がはっきり判明している「りんご」は、私たちの食生活の中で最も取り入れやすい食品ではないでしょうか。
毎年めまぐるしく変わるブーム野菜ですが、身近でいつでも買える「りんご」を傍に置きながらブーム野菜もちょっと試してみる…そんな遊び心を持つことも楽しいかもしれませんね。自分の健康を維持するためにも、私たちはより一層の「選ぶ目」をもつ必要がありそうです。
(2015/6/27)