第95号 毎年恒例!りんご祭りとりんご狩り
スウェーデンのりんご祭りと言えば毎年9月の下旬に行われる、南スウェーデン東海岸の「シビックのりんご祭り、(Kivik Applemarkanaden)」が最も有名です。今年は9月28日(土)、29日(日)の2日間行われました。筆者は青森りんごの郷愁があるだけに、毎年ほとんど欠かさず見学に行っています。今年は日曜日の9月29日に行って来ました。チョットどんよりした天気で、一時小雨が降り、少し肌寒いシビックでした。今回は正面入り口からでなく、駐車場近くの東の入り口から入りました。入場料は大人120クローナ(約1300円)、沢山の参加者で賑わっていました。入り口で受け付けをしていたおじさんに、「参加者はどれくらい?」と聞いてみたら、「5,000~6,000人位ではないだろうか…」との返事でした。
入り口から少し行くと、左側にりんごハンバーグの大きい屋台が見られました。昼近くだったからか沢山の人で賑わい、また、グリルの煙で暖かくも感じました。通りの反対側、海岸沿いの右側の方では、りんご生産者によるりんごの直売が行われていました。味見しながら1キロ、2キロと人々が購入していました。さらにその隣の屋台は、シビック果樹工場(Kiviks Musteri)の大型テントで、そこは各種のリンゴジュースの試飲場になっていました。入り口で20クローナを支払い、ガラスのコップを受け取り、8台程並んでいた各々のテーブルを巡って行きます。各テーブルでは解説者がジュースに使われているりんご品種と味の説明が行われ、その後受け取ったコップにりんごジュースが注がれ試飲するのでした。なるほどこんなにも味が違うのかと今更ながら思いました。説明のおばさん、おじさんと少し雑談し、それぞれのテーブルでりんごジュースを飲み舌鼓を打ちました。りんごジュースの試飲会は今年で3年目との事でしたが、今まで気が付かなかったので、とても新鮮にも感じました。
今年のりんご祭りの巨大壁画モチーフは「りんごの使者と秋の安らぎ(Höstvila, med äpplet som budbärare)」と書かれていました。壁画の大きさ:108㎡、りんご数:35,000~40,000個、りんご:8種類、釘の数:48,600本。壁画家は例年と同じく、エンマ・カープ・ルンドストロームさん(Emma Karp Lundström)です。今年の壁画は例年とは少し異なり、一部が盛り上がっていて立体感がありました。
壁画から少し離れた向かい側の方に大テントの野外レストランがあり、そこでニシンの唐揚げとマッシュポテトを頼み、飲み物はりんごジュースでなく、炭酸水を注文しました。デザートでもありませんが、食後に生牡蠣を2個食べました。またステージのある会場の中央へ戻ると、丁度そこでピアノコンサートが行われていたので、ポピュラー音楽を聴きました。その後少し小雨も降り出したので駐車場へと歩みを進めました。
りんご祭りから3週間程前の9月8日の日曜日、シビックとは反対側の、西海岸のカットヴィイク果物栽培所へりんご狩りに行って来ました。目方を測っていた顔なじみのおばさんに「今年も来ましたよ、宜しく…」と声をかけました。おばさんの話では今年は昨年程の豊作ではなく、一部の品種では5、6割の生産量だったとも伝えられました。値段が書かれていなかったので「値段は?」と聞いたら、「キロ当たりの値段は昨年同様、12クローナですよ」と笑顔で答えられました。向い側の屋台はりんごの試食と売店で、息子さんかとも思われる35歳位の男性が立っていたので「こんにちは」と声を掛けました。 男性はパールさんという名前で、カットヴィイク果物栽培所の4代目との事で、元気に果物栽培所の説明もしてくれました。
栽培所のカットヴィイクの一部では、今年は古いりんごの木を伐採し新しいりんごの木を植えている所でした。新木が柵の様に列に沢山植えられていました。パールさんの説明ではカットヴィイクで今年の植え替えは、13,000本との事。カットヴィイクを含め家族で栽培しているりんごの木は全部で15万本との事でした。「日本のりんご栽培では、アルミニウムシート等を敷いて、太陽光線が下からも当たる様にしているヨ…」と話したら、パールさんの話しでは、「試した事はあるけど、アルミニウムシートの下に虫が湧いてきたので止めた」との事でした。農業等ほとんど知らない筆者ですが、ふっと、りんご栽培は大変なんだなーと今更ながら思いました。
2019年11月15日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰