第90号 県議会のお別れ会
1月中旬、送別会でもありませんが、当県クローノベリグ県会議員の委員7人が集まり、お別れの食事会が行われました。理由は、昨年9月の総選挙(4年に1度行われる国会、県議会、市議会統一選挙)で残念ながら3パーセントに至らず敗選したからでした。場所は当地から50キロ程離れた隣町、家具のイケア発祥地のエルムフルト市でした。参加者は筆者も含め男性3人、女性4人で、金曜日の夕方にレストランを予約し、1時間半程の食事会と話し合いでした。食事は各々がメニューから選び、飲み物はワインやビールでしたが、筆者は車で来ていたので、たらの魚料理と飲み物はノンアルコールビールを頼みました。食事代は割り勘です。
食事での話し合いは、ちょうど同日1月18日金曜日に国会では総選挙(9月9日)後、4ヶ月半でようやく首相が決定されたところで、県の話より国の話が多くなりました。もっとも、参加者のほとんどが60代、70代で、多くは退職者やフリーの政治家、意外と皆カラッとしていて、敗選にも関わらず今更過ぎた事をどうこう話す人は少なく、むしろ今後余生をどの様に過ごそうかとの話でした。
県議会の副議長を務めていたシエル(Kjell)さんは、「俺の第2の故郷は南アフリカだ、来週から1ヶ月程、暖かいアフリカに行く予定だ」と話し、女性の人達は、家族、特に子供や孫の話で、老後は子供の住んでいる市町村に引っ越したいとも話していました。「クドウ、君はどうするの、マルカリド市に住み続けるのか…」と聞かれ、家内はまだ現役で、南スウェーデン第3都市マルメの出身ですし、また次女、三女も向こうに住んでいるから、もしかしたら引越しするかも知れない…と答えました。社会保障の発展しているスウェーデンですが、やっぱり老後は親族の側に住みたいと言うのが内心の様でした。
話を戻せば、前期の政権は昨年暮れの12月で終了し、お別れ会をこの1月にした訳です。前県議会で党代表のミカエル・エーベルグ (Michael Öberg)が中心となり、県党首のマリッタ・ベンクトソン(女性)が指揮をとりました。参加者ではミカエルがまだ50歳未満ですが、残りの我々は皆60歳を超え、今更ながら若者、中年者が少ないと思いました。
スウェーデンの場合、市会議員、県会議員、また委員会の多くはボランティアで、フリーランス・ポリティシャンと呼ばれていますが、ミカエルの様に、県議会では党の代表、副知事の肩書きも持っていたので、仕事と政治家としての活動が重なるため、ここ8年間は仕事を休んでいました。食事中、皆から「県議会を去り今後どうする…」と聞かれたミカエルは、以前の職場、イケア人事部にこの2月に戻るとの説明でした。8年間も休んでいたので、たとえスウェーデンの法律で職場への復帰が保証されていても、気持ちはとても複雑な様でした。
イケア創業者のイングヴァル・カンプラード(Ingvar Kamprad)が亡くなって1年、世界家具メーカーのイケアでは、今後ネット販売に力を入れるとのニュースも入っていたので、ミカエルに食事の後、どうなるだろうか…と聞いてみたら、以前の仕事には戻れないかも知れないとの事でした。
最近のニュースでは、イケアが洋服の大手メーカー、H & M の株を購入したとの報道でした。イケアと共にH & Mはスウェーデンを代表する世界の大メーカー、今後ネット販売で協力、開発して行きたいとの願いがあるのかも知れません。イケアなどの世界企業も新しい市場へと動きつつあるのではとも思いました。
2019年2月14日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰