第86号 異常天候の夏
スウェーデンの今年の夏は異常天候と言えるでしょう。乾燥した、30度を越す日々が続き、中部スウェーデンでは山火事が30件程起きました。消火には、ノルウェー、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガルから消防飛行機、ヘリコプターも参加し消火に当たりました。幸い、7月下旬に一時雷と共に雨が降り、山火事はかなり落ち着いたものの、今度は気象庁から南部スウェーデンが危ない、注意する様にと警報が出されました。一昨日、当地から南へ30キロ程離れた隣りの町へ車で行ったら、途中消防車と行き違いになり、更に遠くの森には煙が上がり、山火事が見られました。気象庁からの報告では、今年のスウェーデンの夏は気象庁が観測を260年前から始めて以来の、7月最高平均気温だったとの事でした。反面、中部山火事現場からそんなに離れていない、スウェーデン第四の都市ウプサラでは7月下旬、今度は集中豪雨に遭い街の中心部が洪水になったりで、異常気象が身近に感じられました。
我が家の芝生はほとんど枯れ6月始め以来草刈りをしなくても良いと喜んでもいたのですが、流石に連日30度を越す日々が続き、きついなーと思いつつ、ふと日本の真夏を思い出しました。子供の頃は夏の暑さなど全く気にもしなかったのですが、歳を重ねてくると流石に疲れ易くなってきます。日本と共に長寿の国、スウェーデンでは老人達が大変ではないか、まして寒さには慣れていても暑さには慣れていないし、それにスウェーデンでは暖房が発達しているけど、冷房装置はほとんど必要ないため装備されて無いので大変ではと思いました。
そんな今年の猛暑、2、3日前に近所に住んでいるオーケ(Åke)さん夫妻を訪ねてみました。芝生が枯れた南側の庭にはりんごの木が数本植えられ、今年はりんごが例年より早く、もう数週間で採れるのではと思われました。私が訪れた午後には、オーケさんご夫婦は北側の庭の日陰に座って、暑さを凌いでいました。
オーケさんは現在80歳、奥様のグンボー(Gunnvor)さんは、78歳です。 現在住んでいる住宅は1972年に完成し、1973年に引っ越して来ました。オーケさんから「クドウ、我々が結婚したのも同じ年だよ」と言われました。既に45年前の出来事、当時技術専門高校で先生をしていたオーケさんが、同校で働いていたグンボーさんと知り合い、結婚したとの事でした。余談ですが、グンボーさんとは私が1990年からマルカリド市役所で働き出した時、同じ技術部での仕事仲間です。2人共定年は65歳だったので、既に10年以上も過ぎているのかと今更ながら時の経つのは早いと思いました。オーケさんは中部スウェーデン出身で、毎年春から夏にかけ、1、2週間夫婦で故郷へドライブに行っています。10年程前まで、住宅兼用自動車で国内旅行も兼ね行ってたのですが、近年は自家用車で行ってるとの事でした。残念ながら子供さんは無く、反面オーケさんは先生だっただけに、近所の子供達には優しく、我が家の子供達も以前かなりお世話になりました。
オーケさんに今年の夏は大変だねと言ったら、なるべく庭の日陰に座って、憩う様にしているとの事でしたが、まだまだ元気なだけに、庭いじりに凝っている様でした。日本の話をしたら、「クドウ、今年の日本は洪水の後、猛暑で大変だろう」と言われ、洪水で多数亡くなられたニュースは聞いていたのですが、猛暑は聞いていなかったので、よく知っていると思いました。その後、スウェーデンの山火事の話、異常気象の話等で、今後も続くのだろうか、以前は20年位の周期があった様な気がするけど、「クドウ、君は政治家だから、知ってるだろう」と逆に問われ、先生には頭が上がらないと思いました。オーケさんもグンボーさんも暑さにも負けず、健康に注意して長生きする様にと心から願い、夫妻宅を後にしました。
2018年8月18日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰