第84号 スウェーデンのイースター
イースター、復活祭が今年は3月30日の金曜日から4月2日の月曜日までで、復活祭日は4月1日の日曜日に祝われました。毎年イースターの日にちは変更されるのですが、正式には4月の初めから5月頃「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日…」に祝います。十字架に架けられ亡くなったキリストが3日後に復活、それで復活祭として祝っているわけです。キリスト教徒の国々ではイースターがクリスマスよりも重要だとも言われていますが、スウェーデンではクリスマスが最も大切な祝日で、家族で祝う習慣です。一方イースターは春先、金曜日から月曜日までの4日間、多くの人々は連休を楽しみます。スウェーデンの場合、イースターは一般には小さい子どもたちが中心で、特に女の子が魔女に仮装して、隣近所を訪問、お菓子やキャンディーを貰う習慣があります。
今年のイースターに、長女と孫の住んでいる首都ストックホルムへ行って来ました。帰り道には更に250キロ程北上して2日間程スキーも滑って来ました。長女の住んでいるストックホルムの住宅地では所々の玄関や庭が、種々の色の鶏の羽等で飾られ、そして母親連れの子どもたちが魔女に変装して、住宅通りを歩いているのが見られました。中には男の子も仮装していて、ふっと我が家の子どもたちが小さい頃、息子も仮装して姉妹に付き添いお菓子を貰っていたのを思い出しました。
4月の初め、今年のイースターはまだあちこちに残雪があり、朝晩かなり冷え込む中、それでも太陽が高く上がりだし春がようやく来た感じでした。普通イースターの食事と言えば、色々に塗られたゆで卵を食べ、また飲み物ではコーラに似た、イースタームスト(ジュース)を飲むのですが、今年は長女の所でまだ孫が1歳と小さいだけに、普段と同じ食事を食べました。食事以上に、むしろ日中に今年初めてテラスに座り、コーヒー・紅茶を飲む事が出来て、庭の残雪を見ながら今更ながらようやく冬も終わったとつくづく感じました。
首都ストックホルム訪問の後は更に北上し、3日間の予定でスキー場へと向かいました。スキー場近くの喫茶店へ入ってみました。まだイースター期間中で、喫茶店の入り口には鳥の羽が飾られ、中には色とりどりのお菓子やケーキが置かれていました。クリームのたっぷり入った、鶏を思わせる黄色いケーキはボリュームがあり、ちょっと食べきれない位でしたが、スキー運動へのエネルギー源ともりもり食べました。
スキー場での係員の話では、今年は例年より2週間程シーズンが伸びているとの事で、4月の中旬迄は滑れると言われました。ゲレンデでは、イースター週間の休みを利用した子供達と両親が目立ち、ゲレンデはそんなに急な斜面ではなかったので、スキーを思いっきり楽しむ事が出来ました。初日だったか、一緒に乗ったリフトの若者が流暢な英語で、「ここは雪が多くまだスキーが滑れてとても楽しいね」と話され、どっから来たのかなと聞いてみたら、アメリカ人との事、1ケ月程のスウェーデン旅行中で、北スウェーデンから現在中部スウェーデンに来ているとの事でした。私は南スウエーデンに住んでいるけど、日本出身だと話し、ところで北海道のニセコスキー場を知っているかと聞いてみたら、「よく知っている、とても素晴らしいスキー場だ」と言われ、まだ若いのに世界中を遊んでるのかしらとも思いました。山頂では彼ら若者達が10人程、ダブダブの服装に派手なマフラー、鉢巻きをしめ大声で叫びながら、後ろ滑りやジャンプなどと楽しんでいました。青春だなとつくづく思ってしまいました。
先日当地マルカリドの喫茶店で、ウインナーお菓子(ウインナーデニッシュ)を食べました。普通は白い砂糖のクリームがかけられているのですが、りんごジャムもかけられていて、その甘ずっぱい味がとても合いました。ちなみにスウェーデンではウインナー菓子はオーストリアの首都、ウインナーの名前で呼ばれていますが、実際にはデンマーク産のお菓子として有名です。
2018年5月22日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰