第80号 ニュートンのりんごの木
ニュートンのりんごの木が南スウェーデン、大学町のルンドにあると言われ、数年前ニュースになりました。 ニュースになった経過は、イギリス人の近代科学者、アイザック・ニュートン(1642年-1727年)が庭で瞑想していた時りんごが頭に落ち、それで万有引力の法則を発見した…そのりんごの木がルンドの植物園に有ると記され話題になりました。もっとも、りんごの木が300年も生きるはずもないので、ルンドのりんごの木はニュートンが住んでいた時代と同種とコメントされていました。
ルンドと言えば、世界的に有名なスウェーデン植物学者のカール・フォン・リンネが1700年代ルンド大学で勉強していた町で、現在では市立図書館の前にリンネの銅像があります。ニュートンのりんごの木はルンド植物園としても大変な宣伝になったのではないかと思われます。少し余談になりますが、10年前の2007年、リンネの出生300年記念の催しが首都ストックホルムで行われました。日本からは天皇皇后両陛下が参加され、当時日本人会会長を務めていた筆者は家内も含め両陛下に招待され、お言葉を交わしました。最近の当地のニュースでは天皇陛下が引退されると報道され、引退日も決定されたと伝えられました。スウェーデンは国王制で、国王カール16世グスタフは現在71歳で皇太子(女子)のヴィクトリア妃殿下は40歳です。
前書きが大変長くなりましたが、この秋のはじめルンドを訪問、植物園へ行きニュートンのりんごの木を探しました。広い植物園の説明書にはニュートンの記録は見出されず、ニュースになってから既に数年が過ぎていたので、ちょっと尋ね様もありませんでした。植物園案内図を見ても分からず、一緒に来た三女にも手伝ってもらい行き当たりばったりで探しました。10分程歩き回ったら北側にりんごの木々が見出され、もしかしたら…と探しました。少しして三女から声をかけられ、芝生に植えられていた小柄なりんごの木、その根本に金属の小さい標識でアイザック・ニュートンのりんごの木と記されているのを発見しました。なんかちょっと気抜けのした感じで、失礼な話しですがどこにでもありそうなりんごの木で、それでも記念にと写真を撮りました。
植物園は初秋で暖かく、人々は芝生に座って憩っていました。我々は更に色々な植物の花々を見てのんびり園内散歩、午後のひと時を楽しみました。
話を変えますが、11月の中旬、2泊3日で南ドイツへまた行って来ました。今回もEUの会議で、EUからの補助金分配について、各国の地方代表による決定の話し合いでした。会議ではストックホルムから来た政府代表の女性がほとんど発言して、 我々3人のスウェーデン地方代表(男性)はあまり発言もせず、むしろ休暇時間に他国の人達と雑談を楽しんだ状態でした。
今回の会議場はドイツ首都のベルリンと北ドイツ大都市のハンブルクの中間の町グストロ(Gustrow)で行われました。行きはコペンハーゲンからハンブルクまで飛行機、列車に乗り換えてグストロまで。帰りはベルリンまで列車で、ベルリンからコペンハーゲン行きの飛行機で戻って来ました。行きのハンブルクの飛行場からハンブルク中央駅へ移動した時、列車への乗り換えまで時間が2時間程あったので、食事の後中央駅のカフェでコーヒー、炭酸水と共に、ドイツと言うよりオーストリア名物のりんごのお菓子、アプフェルシュトゥルーデルを頼みました。りんご入りの巻お菓子、ケーキとでも言うのでしょうか、油っこくボリュームがあり、その上沢山のクリームが付き添っていて、食後ともあって食べきれない位でした。ドイツのお菓子やケーキは一般に大きめで、バター、クリームを沢山使いボリュームがあります。
帰り道ではベルリンの飛行場で白いソーセージとパンを食べ、ケーキは食べませんでした。食道楽でもありませんが、それぞれの土地でその土地柄や風土が感じられる食べ物を味わうのは、旅の楽しみの一つです。
2017年12月12日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰