第79号 シビックのりんご祭り 2017
今年も恒例のシビックりんご祭り(Kivik Applemarkanaden)が9月23日(土)、24日(日)の両日、30周年記念として行われました。もっとも筆者はあいにく祭り日には予定が入っていて、2日後の26日火曜日に、車でスウェーデン南東海岸のシビックへと行って来ました。祭日の土曜は日曜日は、入場料大人120クローナ(約1,400円)取られるのですが、週日は無料、それでもまだりんご祭りの出店や展示場は開かれていて、更に天気も良かったからか、沢山の人で賑わっていました。ただし子供連れの家族は少なく、老人組が目立ちました。
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今年のりんご祭りの巨大壁画モチーフはスウェーデン語で「一年中スウェーデンりんごを享受して下さい」(Njut svenska äpplen, året runt!)と記され、色々なりんでモザイクの様に描かれたりんごの盛り合わせの壁画でした。偶然のお菓子の出店でばったり合ったマルカリド出身の顔見知りの女性から、「クドウさん凄い壁画ですね…私は初めて訪れたのですよ…」と聞かされ、今更ながら今まで幾度か異なる壁画を見て来たのですが、その巨大な壁画に感動しました。今年の壁画の説明文には11種類のりんご3万5千個を使用したと記されていました。
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会場を一回りした後、午後1時半頃お腹も空き、会場にあった野外レストランへ。そこでは多くの人々で長い列が作られていました。15分程待って、筆者の注文したのはニシンの唐揚げにマッシュポテト、サラダそれに前号で紹介した赤いコケモモ(Lingon)のジャム付きで、飲み物は紙パックのりんごジュースでした。海岸からの潮風も気持ち良く、お腹も空いていただけにとても美味しく全部食べてしまいました。
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
今年のりんごの収穫についてちょっと書いて見ます。 筆者の住んでいるマルカリドを含め南スウェーデン内陸部では今年は春先に冷え込み、更に夏場も低温でりんごは一般に不作、一部の人からは例年の2、3割の収穫とも聞かされていました。ところがシビックに来て見たらあちこちのりんご畑の木には豊富にりんごが実り、不作とはとても感じられませんでした。また1週間程前の事、西海岸のカットヴィイク果物栽培所へりんご狩りに行って来たのですが、向こうも例年並みの豊作で、東海岸のシビックと共に東西両海岸地域は海に面しているからか、内陸部とは異なり低温の影響が少なかったのではないかと思われました。
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今回のシビック訪問では、りんご祭り会場を見学した後2キロ程更に車を走らせ、シビック果樹工場(Kiviks Musteri)へとりんごジュースや種々の果物ジュースを買いに行きました。以前幾度か訪問した週末の祭り当日とは異なり、売店はそんなに混んでおらず、ゆっくり選びながら買い物が出来ました。10個入りの果肉入りりんごジュースケースを2つ、更にイバラの実のジュース1ケース、そして生姜入りの果物ジュース等と全部で4ケース半、45個のジュースを購入しました。買い物に少し疲れ、果樹工場近辺のカフェへ行き、そこでアップルパイと共にコーヒーを飲み元気を取り戻しました。カフェへの入り口にはりんごが飾られ、又テーブルの上にも花と共にりんごが置いていて、シビックはいかにもりんごの町、りんごで成り立っていると思いました。

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120キロ程の帰り道、一人で車を運転していても、口の中にはまだアップルパイの甘みとコーヒーの味わいが残り、疲れも忘れ来年もまた是非訪れたいと思ったのでした。
2017年10月13日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰