第77号 東西統一後の発展がめざましい ドイツ、ベルリン
6月中旬、3日間程ドイツの首都ベルリンに行って来ました。今回は国際会議がベルリンで開かれ招待されたのですが、会議よりベルリンの復興、発展をゆっくり見たいと思い、滞在を1日伸ばし、1人でゆっくり歩いて来ました。
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東西ドイツが再統一されベルリンが首都復帰したのは1989年の事。既に20世紀の始めベルリンは世界の大都市の1つとして発展していたのですが、その後2度の世界大戦にあい東西ドイツに分裂、ベルリンは東西に二分されました。筆者がヨーロッパ、スウェーデンに住み始めた頃1970年代には、西ベルリンから東ベルリンへ行くのに厳しい国境を通り越し、西側に比べ、東側の貧しさが思い出されます。そんなベルリンへ今回は15年ぶりの訪問でした。前回は家族と車で行ったのですが、子供達に追われ自分の時間も無く、2つ3つの建物とホテルの思い出位です。
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今回ベルリンを1人で歩いて見て、今更ながらその発展ぶりに驚かされました。以前の東西の区別も見出されず、多くの古い建物と共に、新しい近代ビルが混じり建っていて、新旧が上手くマッチしていました。そんなドイツはヨーロッパのロコモティブ(蒸気機関車、原動力)とも言われ、そして現在では首都ベルリンがその心臓部ともなっています。ドイツの面積は日本より少し小さく、人口も8,900万人と日本よりは少ないのですが、ヨーロッパでは第一(ロシアを除く)の大国で、まさに現在の政治、経済、社会の原動力と言えるでしょう。それだけにヨーロッパではドイツの主導力への期待と共に、反面少しの不安もある様です。
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
そんなドイツの首都ベルリンの人口は約3,500万人。起伏が少ないベルリンは森林、緑の公園、広場と共に運河に囲まれた都で、町を歩いていても空間が多いだけに息苦しい感じがしません。6月中旬では既に真夏を思わせる暑さ、半ズボン、半袖姿で多くの人々が芝生、公園に座って憩っていました。また、ベルリンは文化、芸術の都。近代ビルに限らず、通りを歩いていても所々に塔や彫刻など近代の芸術作品が見られ、ベルリンの気品を高めています。
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今回のベルリンへの旅行は、南スウェーデン第3都市マルメからバスでベルリンへと向かいました、所要約8時間の旅でした。まずはマルメからオレサンド橋を渡りデンマークへ、デンマークを南下して港町のゲザ(Gedser)へ、そこからフェリーで1時間45分ドイツの港町ロストック(Rostock)へ。ロストックからベルリンまではほとんど山の無い平坦な土地、西部ドイツと違い町も少なく、農業として使われているとも思われず、全くの平地でした。ロストックからベルリン迄は約230キロの距離、バスは途中停車もせずベルリンまでアウトバーンを走って行きました。ふと、北ドイツには北欧と同じでりんご等の果物が沢山生っているのではと、バスから見ていたのですが、人もほとんどいない平野は酪農にも使われていない様で、りんごを含め果物栽培の農家すらほとんど見られませんでした。
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首都ベルリンのアレキサンダー広場(Alexanderplatz)近くにあったデパートに入り、1階の果物売り場を見てみました。ばら売りの果物はスウェーデンと同じですが、当国と違い、国産りんごとイタリア、フランス等の外国産りんごの値段は全く同じでした。店員のおばさんに、「ドイツのりんごはどこから来るの、なぜ国産と外国産の値段が同じなの…」と聞いてみたら、「あまり良く分からない」とあっさり答えられました。反面「りんごは他の果物に比べ高いですね…」とのコメントもされました。多分ドイツ産のりんごのほとんどは北ドイツ産でなく南ドイツ、ドイツアルプスのあるバイエルン地方から来ていると思います。バイエルンの県庁所在地はビールで有名なミュンへン、美味しいりんごジュースでも知られています。そう言えば、国際会議場でも、またホテルの朝食でも、コーヒー、紅茶と共に必ずりんごジュースが出されます。ドイツ語でりんごジュースはアッフェルサフト(Apfelsaft)…ふっと懐かしくなりまた飲みたくもなりました。
2017年7月4日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰