第74号 家族で訪れた「ラーメンきまま」
寒さの厳しい冬、家路の途中でふっと温かいラーメンを食べたくなります。ダシのきいたラーメンをスルスルと吸い込む感じ…北欧に長年住んでいてそんな事を思うのですから、筆者もそろそろ年を取ったのかも知れませんね。そんな折、近年首都ストックホルムに5軒程のラーメン屋があると聞きました。寿司屋は当国でもかなり広がりあちこちの町でも見られる様になったのですが、まさかラーメン屋がそんなに流行っているとは思ってもみませんでした。今回は2月の下旬、子供達が住んでいるストックホルムへラーメンを食べに行って来たので書いてみます。
もう数年前の話ですが、息子から「パパ、トンコツラーメンって知ってる、とても美味しいんだよ…」と聞かされ「トンコツ?」、日本語がまだまだ苦しい息子なので「トンカツ」の間違いだろうとその時は思いました。子供達がまだ小さい頃、弘前の実家へ家族で行った時、息子は「チャーシュー麺」好きで、ひょっとして最近はチャーシューの代わりにトンカツでも入れるラーメンもあるのかしらとも思った程でした。ところが2、3年程前の事、東京へ行った時ラーメン屋に入ったら、油っぽい汁に太い麺と共にごつい豚肉入りの「トンコツラーメン」があったので、あれっと思ってしまいました。
ストックホルムで訪れたラーメン屋「ラーメンきまま」はストックホルム王立工科大学の近くにあり、表通りというより、車の多い裏通りのアパート群の中にぽつんとある感じでした。今回の訪問は我々夫婦と共に子供達とその連れで合計7人、テーブルを夕方7時半に予約しました。
「ラーメンきまま」は平日はランチ時と夕方開いていて、週末は夕方だけ開店しています。入り口は小さくちょっと見逃す位でした。中も割りとこぢんまりした感じで、台所とカウンターが真ん中にあるので7人一緒に座れるかなとも思ったくらいでした。幸い予約していたので奥の方の1部屋を用意してくれ、部屋には我々だけで、大きいテーブルを囲みながらゆったり座り食べる事ができました。塩ラーメン・味噌ラーメン・焼き肉ラーメン・野菜ラーメン等と共にうどんやカレーライスもあり、さらに嬉しかったのは、日本のビール、キリン・アサヒ・サッポロが揃っていて、早速筆者はビールを注文しました。若者達はビールやジュースを注文していました。ラーメンの値段は日本円で約1,500円から2,300円位、写真入りのメニューを見てどれにしようかなと迷ってしまい、なかなか決断がつかなかったのですが、結局焼き肉ラーメンに決めました。家内と長女はベジタリアンでキムチラーメンを注文しました。15分程皆で雑談しながら待っていたら、津軽焼きを思わせる、黒っぽい分厚いどんぶりに入ったラーメンが運ばれて来ました。
「ラーメンきまま」のダシはとても脂っこく醤油味で、東京で食べたトンコツラーメンを思い出させました。麺は少し太めでしたが、昔食べたラーメンの味を思わせるものでした。豚の脂っこい肉と共にもやしやホウレンソウの野菜が入り、さらにはゆで卵入りでボリュームがあり、その上ビールのせいかお腹がいっぱいになりました。
経営者は日本人で名前は聞きませんでしたが、既に2軒目のラーメン屋を開店してるとの事でした。数人の日本人と共に2、3人のスウェーデン人が働いていて、また金曜日の夕方だったからでもないでしょうが、結構中は混みあっていて、ラーメン屋は当国では近年流行っていると感じました。
まだ肌寒い外に出て、お腹もいっぱい、どこかでコーヒーでも飲みたい…とも話し合ったのですが、「ラーメンきまま」から歩いて15分程の距離に住んでいる長女の所へ集合、第2次会でもありませんが、ビールやワイン、ジュースを飲みストックホルムでの夕方を家族で親しみました。
2017年3月16日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰