第69号 恒例のりんご狩り~今年は豊作
今年のスウェーデンはりんごが豊作。りんごに限らず、野生のブルーベリーやコケモモ(リンゴンベリー)またエゾイチゴ等の果物が大変豊富で、この夏から秋かけては多くの人々が野山に入り、色々な果物を採っている姿が見受けられました。先日のニュースでは今年は果実と共にドングリの実も沢山なり、ドングリは野生のイノシシが大好物なだけにこの秋には畑もそんなに荒らさないのでは…とも伝えられました。
そんな9月の下旬、近年では恒例になっているりんご狩りにと夫婦でドライブを兼ね行って来ました。当地マルカリドから西南へ、避暑地・テニスの町として知られている、ボースタッド(Bastad)を通り越し、海岸にあるりんご園、カットヴィイク果樹園です。当日は日曜日の休日、その上大変天気も良く、駐車場から管理場まで多くの人々で賑わっていました。ふと、こんなに沢山の人々ではりんごがもぎ取られているのでは、と心配したのですが、例年にない豊作でまだまだ沢山のりんごがもぎ取られずに残っていました。
昨年の初夏は雹が降り、りんごにキズが付いたりで、1キロ当たりの値段が例年の半額で5クローナ(約60円)だったのですが、今年は例年と同じくらいの値段で1キロ当たり10クローナ(約120円)でした。果樹園には訪問者の為にリヤカーも数台用意されていますが、我々は手持ちのバックと紙袋を持って、リンゴの名札を見ながら果樹園の奥へ奥へと入って行きました。
なるほど今年は豊作なのか、美味しいりんごで知られているグリヴェシュタイナー(Gravensteiner)の樹々の所でもチョット奥に入って行ったらまだ沢山のりんごがもぎ取られずに残っていました。早速1個をもぎ取り口の中へ。そのシャキシャキした口ごたえと共に甘酸っぱい新鮮なりんごの味にほおもこぼれ落ちそうでした。ふと家内からグリヴェシュタイナーだけでなく、他のりんごも取りましょうよと言われ、はっと我に戻りました。
少し大型の黄色っぽいりんごの樹の所、名札にはMutzuと書かれていていました。そう日本のりんご陸奥です。 余談になりますが後日スウェーデンのりんごの本を読んで見たら、陸奥はゴールデンデリシャスと日本のインド種との交配との事、1930年頃日本、青森の研究者達によって開発されたと記されていました。スウェーデン国内では陸奥は1970年代に植えられたとも書かれていました。もう20年程前の事だったか、1990年中旬頃町のスーパーで始めてMutsuと書かれたりんごを見出し、郷愁にかられたのを思い出します。
1時間ほどでグリヴェシュタイナーと共に赤みのりんごアローマ(Aroma)及びコックス・オレンジ(Coxs Orange)を採り、手持ちのバックと紙袋は一杯になり、重いなと感じながら、重量計の置いている管理場へ計りに行きました。りんご園経営者のヘンリックソンさん(女性)と共に、アルバイトかと思われる2人の若い女性が応対してくれました。ヘンリックソンさんに今年は例年にないりんごの豊作ですねと話したら、とても嬉しそうに、そうですねーと、微笑んでいました。こんなに沢山なっていては、もぎ取りの時期(9月中)が終わったらどうするのですかと聞いてみたら、10月に入ってからだともぎ取りは出来ないけど、地面に落ちてるのをタダで取りに来てもいいですよとささやかれ、りんごがそんなに余ってるのだろうかとも思いました。
今回もぎ取ったりんごの量は37キロ、家の地下室にある冷蔵庫も一杯になってしまい、ルンド大学で勉強している三女に5キロ程のりんごを分け与えたら、1週間後マルカリドに来た時、「お母さんおみやげ」とりんごジャムを持って来ました。生のりんごと共に、娘のりんごジャムを食べながら、ふと弘前、アップルロードを懐かしく思い出している昨今です。
2016年10月12日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰