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第67号 イケア博物館オープン

6月30日、当地から50キロ程離れた隣りの町エルムフルト(ÄLMHULT)で家具メーカーのイケア(IKEA)の博物館が開館されました。エルムフルトはイケア最初の家具店がオープンされた町、それは今から60年程前の1958年の事でした。その第一号のイケア家具店が改築され、この夏に博物館としてオープンした訳です。

余談になりますが日本でもイケアは業績を伸ばし一昨年のイケア仙台店開店を含め現在日本全国に8支店があります。ちなみに全世界では44カ国にイケア家具店があり、合計では368店と記録されています。

イケアの創業者のイングヴァル・カンプラード氏(Ingvar Kamprad)は1926年生まれ、現在90歳でいまだ元気で、博物館の開館式には息子さんと共に参加した写真がローカル新聞に載っていました。

イケア博物館建物
イケア博物館建物

筆者が博物館を訪問したのは7月下旬の週日でした。天気も良く、真っ青な空にかつてのイケア家具店、それは青色の壁に黄色のロゴの建物が特徴なのですが、外面が真っ白に塗られた博物館の建物がくっきり浮かび上っている感じでした。駐車場にはスウェーデンナンバーの車と共にデンマーク、ドイツ、オランダ等のナンバープレートの車も目立ちました。駐車場の反対側は現在大型のイケアホテルの建設中で、名前はスウェーデン語で(Tillsammans)「一緒に」と書かれていました。そう言えばイケアの博物館への途中の車道、環状交差点の中に、飾りとして沢山の標識が立っていたのですが、それは日本語・中国語・ロシア語も含め色々な言語で書かれた標識で、いかにもイケアが国際化されている事を物語っていました。

駐車場反対側の建設中のホテル
駐車場反対側の建設中のホテル
環状交差点の中の飾りの標識
環状交差点の中の飾りの標識

博物館内部は地下1階、地上3階の建物。入り口を入った正面の壁に、イケア創立者イングヴァル・カンプラード氏の写真と共に、「多くの人々により良い日常を創作する」と、イケアのモットーとでも言うのか、イングヴァル氏の言葉が書かれていました。入場料は大人60クローナ(約720円)、子供40クローナ(約480円)でした。当日はわりと入場者も少なく、受け付けの女性に聞いてみたら開館当初の1、2週間は沢山の人出だったけど、今日は天気も良いので、夏休みで泳ぎにでも行ってたのではとの説明でした。

正面入口の壁 イングヴァル氏の写真と言葉
正面入口の壁 イングヴァル氏の写真と言葉

館内はまだ完全には完成してない様で、あちこちの壁や幾つかの部屋はまだガランとしていました。2、3年程前迄はイケア家具店の展示場・売り場は沢山の人々で賑わった、またイケアの従業員が沢山歩き回っていた店内、今はガラリと変っていました。館内は年代と共に時の移り変わりに製品が展示され、また色々なアイデア、イケアの工夫が開発された年代が表示されていて、筆者自身のスウェーデンでの生活を思い出し複雑な気持ちになりました。

館内の3分の1くらいはイングヴァル・カンプラード氏の生い立ち、イケアでの活躍・発展の説明で、いかにイングヴァル氏がイケアにとって重要な力になっていたかが感じられました。さらに3階の奥にはイングヴァル氏のスイス時代の事務室の再製があって、電話がある大きい机の周りの本棚に、家族の写真・沢山の書類・本が並べられ、ふとイングヴァル氏がどの様に仕事をしていたのかと思い浮かばれました。

博物館内
博物館内
博物館内
博物館内

イングヴァル氏はロシアを始め世界中を購入の為に歩き回っていたとも書かれ、事務所にはそんなにいなかったとの解説でした。そして、海外への出張ではただの1度だけビジネスクラスの飛行機に乗っただけで、全ては安いエコノミークラスだったとも書かれていました。隣町のエルムフルトまでは当地マルカリドから50キロと近いだけに、筆者は時々イケアの従業員にも会うのですが、イングヴァル氏の事を聞いてみると、殆どの人がとてもお金についてはうるさかった、 恒例のクリスマスの挨拶でも従業員に無駄使いをするなと必ず言っていたと聞きました。

館内3階 イングヴァル氏の事務室
館内3階 イングヴァル氏の事務室
イケアのロゴも年代と共に変化
イケアのロゴも年代と共に変化

世界のイケア、今後更に伸びるのではと思いますが、一代でこれほど迄に成長させた企業家、今更ながらにイケア博物館はイングヴァル氏の生い立ち、説明がメインになっているのが分かる気がしました。

近年のイケア店 屋根にはソーラーパネルが備えられている
近年のイケア店 屋根にはソーラーパネルが備えられている

2016年8月8日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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