第65号 アイスランドの雄大な自然
3月の下旬、イースター(復活祭)の休暇を利用し家族でアイスランドへ行って来たので今回はその旅行記を書いてみます。
昨年10月頃だったか、次女からの電話、「ママには内緒だよ…」との話しで、この4月の家内の誕生日を皆で祝おうと、子供達が相談し、アイスランドへの3泊4日の旅行チケットを予約したのでした。イースター4日間は連休なので問題無いとすぐ返事しました。南スウェーデンのマルメ、ルンドに住んでいる次女と3女は出発2日前に我が家へ、1泊して翌朝長男、長女の住んでいる首都ストックホルムへと500キロほど車を走らせました。
ストックホルムで我々は長女のアパートへ、次女達は長男のアパートへ泊りました。翌日イースター初日の金曜日、3月25日天気の良い朝、ストックホルム飛行場へと車を走らせました。飛行機の出発は午後1時半、飛行場で簡単なサンドイッチを食べビールを飲み、出発の準備をしました。飛行機はアイスランド航空、ほとんど満員で、我々はずーっと後ろの席、2列3席に座りました。ストックホルムからアイスランド首都のレイキャヴィークまでは約3時間の飛行時間、もっともアイスランドはスウェーデンとは1時間の時差です。
飛行は途中曇り空で下界が見えず残念に思っていたのですが、アイスランドに近づいたら雲の割れ目が見られ、海岸線と共に真っ白な雪の世界が見られました。北極か南極の上空でも飛んでいる様な感じで、雪と氷に覆われた世界と共に海岸線に大地が見られるのでした。レイキャヴィークのケプラヴィーク国際空港は中心街から50キロほど離れた所で、一帯の大地は全く、林・植物の無い不毛の地、良く見たら火山灰、岩の様な大地で、こげ茶色の苔が所々に生えていて、いかにも生物を寄せ付けない様な感じでした。
飛行場からバスで首都レイキャヴィークの中心地へ、アイスランドの総人口は約30万人、その大半がレイキャヴィークに住んでいるとも言われています。夕方6時近くホテルを出て、皆で夕食のレストラン探し。メインストリートが海岸線と平行して海から200メートルほど離れた所にあり、車と共にイースターの祭日も重なっていたのか、かなりの人並みでした。アジア人も目立ち、長女から「日本人が多いみたいね」と言われ、なるほど日本語が時々聞かれました。何で今頃日本人が訪れるのかしら…とふと思ってしまいました。後で分った事ですが、どうも皆オーロラを見に来ていた様です。反面我々はオーロラが3月終わりにも見られる事すら知らずにアイスランドに来ていたわけです。
あちこちのレストランは結構混んでいて、またインターネットで調べた、有名なレストランは、イースター中は満員とも言われ、どうしようかとちょっと心細くなったのですが、幸い魚料理のレストランに2階の席が取れホッとしました。レストランから海岸と共に対岸の山々が見られ、氷河で山々の頂上が覆われているのでは無いかと思われるほど、同じ高さで、真っ白に雪に覆われていました。注文した料理は子供2人はクジラの焼き肉、家内と他の2人は魚の煮込み、私は半生の魚の盛り合わせを頼みました。シャケやタラ、またヒラメかとも思われる白肉の魚で塩味が強く、塩漬けでもしてる感じでした。酒は家内の誕生祝いと、スパークリングワイン、皆で乾杯でした。
翌日から2日間はレンタルカーで、初日はゴールデンサークル、レイキャヴィークから内陸部、北東へと約100キロほどの観光地へ。最初はケイシール間欠泉、近年は温泉が吹き出さなくなったとも聞いていたので、温泉のぶくぶくかなとも思っていたのですが、何と10分置きくらいに10メートルほどの高さに吹き出し、多くの観光客で賑わっていました。
ケイシール間欠泉から更に10キロほど奥へ車を走らせたら、今度は雄大な川の流れと共に大滝グトルフォルス。風がとても冷たく、あちこちに氷も見られとても寒さにブルブル震えました。グトルフォルスから30キロほど首都レイキャヴィークへ向かった途中にロイガルヴァトンで停まり、そこの露天風呂で体を温めました。本来は世界最大の露店風呂ブルーラグーンへ行く予定でしたが、イースター休暇中は満員との事で入れなかったわけです。
翌日は国道1号線を前日の様に内陸には入らず海岸線を200キロほど東へ走らせ、岬のあるヴィークへと向かいました。途中落差65メートルの綺麗な滝セリャランスフォスを見学、この滝は裏側も通れて一回り出来る散歩道があるのですが、所々凍り付いていて、転ぶのではないかとハラハラでした。ヴィークは波が高く、また岩石が海にそそり立ち、周りの山々が海岸近くまで迫った村。地の果てまで来た様な感じでした。帰り道には再度、ロイガルヴァトンに立寄り露天風呂につかろうとしたら、あいにく午後に予約が入っていて満員、更に車を40キロほど走らせ、フルージル露天風呂へ。夜10時まで開いてるとの事で薄暗く、星が見えるまで露天風呂につかりました。途中夕食をガソリンスタンドで食べ、レイキャヴィークへ向かったのは10時近く。次女がインターネットを見て、オーロラが見えるかも知れないとの話しに興奮しました。帰り道真っ暗な丘の上をずーっと通って行ったので注意して外を見てたら、快晴の夜空に白っぽい雲が見られ、曇りかなとも思って、真っ暗な大地に車を止め、冷たい強風の中、車を出てライトを消したら、薄らと緑色のオーロラが夜空にカーテンの様に見られるのでした。その美しさと共に寒さでブルブル、家族は皆車の中、私は興奮しながら見入りました。アイスランドの思い出は、自然の雄大さでした。
2016年4月12日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰