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第57号 スウェーデンの食事と乳製品

日本では3月が学校の年度末にあたりますが、スウェーデンでは6月に卒業式や終業式が行われ、特に卒業式はパレードなどのイベントが盛大に行われます。その後は2ヶ月の長い夏休みが待っていて、各々が海や山などに出かけて短い夏を心ゆくまで楽しんでいます。日本でもそろそろ夏休みが始まっている頃ですね。

高校卒業式後のパレード
高校卒業式後のパレード
スキー場メッカ、オーレ山夏の風景
スキー場メッカ、オーレ山夏の風景

さて、時々友人や知人に家内と共に招待され、一緒に食事をしていると「クドウ、家では誰が料理するの?日本料理を作るの?」とよく聞かれます。「子供達がまだ小さかった頃は皆お腹が空いていたので、最初に家に帰って来た人が作っていた。私が料理する時は最も手っ取り早い、パスタ(マカロニかスパゲッティ)に冷凍のミートボールや魚の揚げものが多かった」と答えます。それでは、スウェーデンではどんな食事をとっているのだろうかと、読者の方々も思っているのではないでしょうか?

スウェーデンの主食は、日本の米の代わりのジャガイモです。普通ジャガイモは茹でる前に皮を剥きますが、初夏の新ジャガ等は皮をむかずに茹でます。 また、大きいジャガイモは茹でる代わりにそのまま、あるいはアルミ箔に包みオーブンで蒸したりもします。茹であがったジャガイモが余ると、翌日にはジャガイモをフライパンで炒めたりもします。日本で前日の冷や飯をチャーハンにするのと少し似ていますね。肉料理が多いのですが、ヴァイキングの国だけにタラやニシン、またエビ等の魚介料理も豊富です。肉料理は牛肉・豚肉・鶏肉が主で、更に羊肉が晩餐会等で出されます。

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スウェーデンの肉料理と言えば、ひき肉を団子にした「ミートボール」が最も知られているのではないかと思います。ちょっと余談ですが、10年程前長女と日本に行った時、義姉から何かスウェーデン料理を食べたいと言われ、長女がひき肉を弘前のスーパーで買って来てミートボールを作りました。勿論ジャガイモを茹でて出したのですが、義姉はミートボールをとても美味しいと褒めてくれましたが、やっぱりご飯を食べたいと言われ、結局ご飯を出しました。日本人が米を欠かせない様に、スウェーデン人、特に中年以上の人々にとってはジャガイモが欠かせないものだと思います。

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朝食はほとんどがパン食で、一部の人達は日本のいわばお粥のような感じで、大麦・ライ麦等の粥を朝食に食べます。パンは小麦粉の白パンと共に黒パンや色々な麦のパンがあり、パン屋やスーパーで各々の家庭の好みで購入しています。我が家では子供4人の大家族(?)だったので、今でも家内は2週間に1度位の割合で2~3種のパンを焼いて、冷凍保存したものを毎朝食べています。そして、パンにはジャムやハムと共にチーズが欠かせません。パンと共にチーズも色々種類があって、1キロ程の大きいお好みのチーズのかたまりを各家庭の冷蔵庫に1~2個常備し、朝食にスライスして食べます。朝食の飲み物は大人はコーヒーか紅茶、また子どもがいる家庭では牛乳が欠かせません。

そう、ここで牛乳・乳製品について書いてみましょう。スウェーデン人は特に子ども時代には、他の北欧人と同様に牛乳を沢山飲みます。学校の昼食でも必ず冷たい牛乳が出されます。数年前マルカリド市では予算節約のために、小学校の給食で週1度の牛乳廃止の案が出ましたが、父兄の猛烈な反対にあい、その案は取り止めとなりました。確か牛乳については、国が乳牛農家へ10~20%の補助金を出していると思います。

乳製品は実に種類が豊富
乳製品は実に種類が豊富

昔筆者がまだルンド大学の学生時代だった頃、弘前の実家に帰った時、夜遅くまで悪友たちと飲み過ぎ、翌朝冷蔵庫に入っていた瓶入りの冷たい牛乳をガブガブ飲みました。それを見ていた母が驚き、「お腹壊さないの?」と注意してくれたのですが、数年スウェーデンで生活していて冷たい牛乳を飲むクセがついていたので、お腹を壊す事など無いと母には言った次第です。

牛乳を飲んでお腹を壊したり痛めたりすることは北欧人には少ないのですが、アジア人には多い様です。医学的には乳糖(Laktos)に依ると言われ、最近では乳糖無しの牛乳も売られています。我が家では家族全員乳糖の問題がありませんでした。ところが三女が数年中国で生活し戻って来てから、お腹を壊す様になりました。始めの頃は余り気にも留めていなかったのですが、大学で勉強する様になり、病院で調べて貰ったら、乳糖に依ると言われ、その後は乳糖抜きの牛乳や乳製品を使用する様になり、現在ではお腹の方も問題無くなりました。

乳糖抜きの牛乳
乳糖抜きの牛乳

最近スーパー等を注意して見ていると、乳糖抜きが目立つ様にも思えます。もっとも今までは余り注意していなかったのでわかりませんが、現代の傾向として、乳製品では低脂肪や乳糖抜きの製品が増えているとも言われています。

写真はここ数年スウェーデンで人気が出ている、アメリカのマクドナルドに対抗しての、スウェーデンのハンバーガーチェーン、マックス(Max)です。スウェーデンの食生活も変わりつつあるようです。

スウェーデンのハンバーガーチェーン店
スウェーデンのハンバーガーチェーン店

2015年7月24日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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