第50号 スウェーデンのクリスマス
12月10日はアルフレッド・ノーベルの生年月日に合わせストックホルムのコンサートホールで授賞式が行われました。今年は日本人3名、赤崎氏、天野氏、中村氏が青色発光ダイオード(LED)を開発した業績で物理賞受賞しました。日本人3名の同時受賞はスウェーデンでも大変な話題となり、特にLEDランプは、従来のランプに比べエネルギー消費率が低く、その上寿命が従来のランプに比べ数倍長いとあって、ノーベルの意志を次いだ発明開発、世界への貢献ととても高く評価されました。授賞式の晩餐会では日本人受賞者の奥様、お嬢さんが着物姿で参加され、多くの参加者のきらびやかなドレスと燕尾服姿と対称に和服のしっとりと派手な色がとても華やかでした。
テレビの実況中継ではアナウンサーが晩餐会の食事前菜、メイン、デザートの紹介、味見と共に日本の着物についても説明をしていました。ノーベル賞晩餐会の参加者が約700人とも言われている授賞式後の晩餐会ですから大変です、スウェーデンではノーベル賞の晩餐会を「晩餐会の王」とも自ら言い誇っています。
毎年新しいコックが選ばれ、素晴らしい個性的な料理が晩餐会で話題を呼びます。コックは数ヶ月から計画準備しているようですが、 晩餐会の食事については、ノーベル受賞者発表日と同じで、晩餐会当日までは絶対の秘密です。そんなノーベル賞授賞式、晩餐会。さらに会場に膨大な花々が飾られ、花の飾りつけをする人も毎年選ばれます。近年では日本人の方がノーベル賞を受け取るのもまれではありませんが、我々スウェーデン在住邦人にとっても、近年5~10年は邦人の授賞者が増えとても素晴らしいニュースと喜んでいます。
そんな12月の中旬、ノーベル賞授賞式の1週間後、ストックホルムへ行って来ました。クリスマスを間近に控えた街は、クリスマスの飾りで一色、今年は暖冬で雪が無く、薄暗い中にも、クリスマス飾りのライトが街中キラキラととても綺麗でした。
ノーベル賞授賞式が行われた青い建物のコンサートホール前の広場では、果物屋等の屋台で賑わい、地下の市場では、色々な新鮮な生の食料品が売られていました。市場にはカフェやレストランがあり、又お菓子屋さんでは美味しそうな菓子が飾られ、見ているうちにつまんで食べたくなりました。クリスマスのお菓子はチョコレートが中心ですが、スウェーデンの習慣ではクリスマス前のルチア祭にともない、ルッセカッテル(Lussekatter)、サフランを使った干しぶどう入りのパン、菓子を食べます。
一方のルチア祭は12月13日で、若い少女達が白衣に着飾り、選ばれたルチア少女が頭にキャンドルの冠をかぶり、サンタルチアの歌を謡い厳かに巡り歩きます。当地では老人ホーム等の施設を訪れます。各々の高校学校では以前はルチア選択がミスユニバーサルの選択にも似ていて、ちょっとしたコンテスト的雰囲気もあったのですが、近年ではそのようなコンテストに批判もあり、学校等では控えつつあります。それでもやっぱり、ルチア祭の習慣は強く、あちこちの町の広場や、老人ホーム等へ選ばれたルチア少女達が歌を歌いつつ訪問すると、その神聖な姿、歌声は大変喜ばれます。写真は当地の老人ホームを訪れたルチアの少女達、又中部スウェーデンのカールスタッド町中での風景です。
スウェーデンのクリスマスは日本の大晦日、元旦と同じように、家族で祝い、クリスマス前日、クリスマスイブにクリスマス料理を食べ、クリスマスプレゼントを分け祝います。スウェーデンではクリスマス前にノーベル賞授賞式(12月10日)、ルチア祭(12月13日)更にクリスマス4週間前の日曜日にはアドベントキャンドル(4本のローソク)の最初の1本に灯を灯す習慣があり(毎週日曜日に1本増やして行きクリスマスの週に4本全部灯す)、12月、クリスマスが最大の祝いとも言えるでしょう。
2014年12月29日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰