第38号 大使公邸での新年会2014
1月22日水曜日の夕方、ストックホルムの日本国大使公邸で毎年恒例の新年会が行われました。昨年程寒くは無いものの外の気温はマイナス。雪と共に未だクリスマスの飾りの明かりがあちこちで見られとても綺麗でした。大使公邸があるユールホルム地区(Djurholm)はストックホルムの高級住宅地、公邸のあるストランドヴェーゲン(海岸通り)は海岸に沿っていて、夏には高級ヨットがずらりと停泊しています。丁度、大使公邸の向かいの小島にはポップグループ、アバの一員で名前は忘れましたが、一時は一軒家に住んでいたそうです。新年会は夕方の5時半からなのですが、夏と違いすっかり夜に入っていて薄暗く、ヨットは一艘も見られず海は凍りついていました。
広大な公邸の敷地そして大きい門、入り口にはパトカー1台と共に、入り口の警備の人が5人程いて、参加者の招待状をチエックしていました。私と家内の招待状は番号が「28」、警備の人に「こんにちは。」と招待状を見せ挨拶、「どうぞ。」と直ぐ通してくれました。
公邸の建物迄は更に6~70メートルの距離。薄暗い中、公邸の建物を写真に撮ろうかとカメラを出したら、警備の人から「写真はダメですよ。」と言われました。建物内での撮影は良いのですが、最近は警備も厳しくなっているのかもしれません。
新任の森元誠二大使、婦人の芳子さんが入り口のホールで我々を迎えてくれました。大使の袴姿と婦人の着物が公使夫妻や他の大使館役員の背広、洋装姿と対照的でした。100人程の参加者の中にも数人着物姿が見られました。森元大使とは初対面、隣に並んで受け入れてくれた鈴木公使とは幾度か会っていたので、公使が私の事を紹介してくれました。北海道出身の前渡邉大使とも異なり、初対面だったのでちょっと緊張しました。挨拶の後、家内と今年でもう6人目の大使だろうかと一人一人の大使の名前を思い出しながら、地下のレセプションホールへと階段を降りて行きました。既にかなりの参加者で賑わい、緊張をほぐすため景気付けにと早速、白ワインを受け取りました。南スウェーデン、マルメ市の日本名誉総領事、レイフ・アルモ(Leif Almo)さんや、ストックホルム日本人会の会長小牧さん、そして日本ビジネスクラブの人々等、数人顔見知りの人もいて会話が弾みました。
話を戻せば、大使は普通3年位の就任で交代します。鈴木公使から後で聞いた話ですが、今年4月からクウェートだったか、「アラブ諸国へ転任する。」と言われ、北欧と違い大変ですねと話し合いました。転勤は外務省の指定で、ある程度希望も言えるとも言っていましたが、実際は殆ど何処に配属されるか分からないようでした。35人程の大使館従業員ですが、中には現地採用の職員の方もいらっしゃいます。領事部でいつもお世話になっている方です。スウェーデン人でマルメ出身の旦那さんは、6~7年位前に亡くなられ、今はストックホルムで1人暮らし。現地採用なので、定年はスウェーデン人と同じく67歳との事でした。「この夏には定年で辞めますよ。」と伝えられ、もう会えないのかな…とちょっと寂しくも感じました。
さて新年会は森元大使及び、ストックホルム日本人会小牧会長の挨拶で始まり、ビジネスクラブ会長の音頭で乾杯して、いよいよ食事会です。今年は例年と異なり食事のテーブルが中央に縦に並べられ、あまり混み合う事も無く、更に奥の方には「お餅コーナー」が設けられ、お汁粉やきな粉餅も食べる事が出来ました。中央のテーブルの上には生け花の飾りと共に寿司、酢のもの、佃煮や魚の薫製など…久しぶりの和食に喉が鳴ります。前に並んでいたスウェーデン女性が、薫製を食べるのを渋っていたので「ちょっと味見したら?」と勧めてみました。口に頬張り、にこりと微笑んだのでおそらく美味しかったのでしょう。飲み物のテーブルでは今年は日本酒が目立ち、つい2~3杯程飲んでしまいました。本当は白ワインだけのつもりだったのですが、日本酒を沢山見せつけられると断れません。夕方7時半、2時間位経ったでしょうか。よく飲みよく食べ、そして気分良く解散。外は白い雪の世界が広がっていて余韻に浸りながら会場を後にしました。
2014年2月4日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰