第35号 ストックホルムのABBA博物館
広く世界に知られている北欧スウェーデンのブランドと言えば、高級車のボルボ、家具のイケヤそして、服装のH&Mでしょうか?そんな「モノ」の分野から少しかけ離れた「音楽」の分野でも世界中に知られているポップグループがあります。ABBA(アバ)です。男性女性の4人組(アグネータ・フェルツコグ、ビョルン・ウルバース、ベニー・アンデルション、フリード・リュングスタッド)、グループがスタートした頃はそれぞれカップルでした。派手な服装や親しみやすいポップミュージックで広く知られ、数年前にはミュージカルから更に映画にもなった『マンマ・ミーア!』は、皆さんも知っているのではないかと思います。40年前のユーロビジョン・ソング・コンテストで『恋のウォータールー』で優勝し、その後次々にヒット曲を出し世界中を圧倒したABBAです。
今年ストックホルムにそのABBAの博物館が建てられ、筆者は1週間程前に訪れて来ました。今回はストックホルム、ABBA博物館について書いてみましょう。
11月中旬のスウェーデンの首都ストックホルムは例年よりは暖かい日でした。海と湖に囲まれたストックホルムは別名北欧のベニスとも呼ばれ、古い建物が立ち並びとても綺麗な感じのする街です。人口は80万足らず、周りの市町を入れた大ストックホルムは人口150万とも言われています。地下鉄が縦横に伸びていて、バスや又最近では路面電車が湖を周りに見ながら走っています。
筆者が泊まった地区はストックホルム中央駅からほんの1キロ足らずの、スウェーデンで『古い街』を意味する「ガムラスタン(Gamla stan))です。ガムラスタンは島の様になっていて、広さはほんの30ヘクタール(30万平方メートル)で、幾つもの橋で繋がっています。そのガムラスタンには王宮及び国会議事堂があり、官庁の建物と共に教会等もあります。日本の昔の城下町のような感じでしょうか。そんなガムラスタンは、観光地としても凄い人気があり、又そこのアパートはとても高く、歴代の首相・名士・財界の人々などが住んでいました。
泊まったホテルの名前は『オールドタウンロッジ』といい、ホテルと言うより宿泊所という感じでした。レセプションは夕方の5時には閉まってしまい、私が到着した夜の10時には入口のコードで中へ入りました。封筒に入れられた鍵で部屋に入ると、白い壁のいかにも古い建物で、窓からは4メートル程の隣りの建物が見られ、スウェーデンに長く住んでこんなにも狭い世界に来たのは初めてでした。一方入り口付近の広いレセプションの部屋では、若者達がソファに座りビールやコーラを飲みながら雑談、筆者に「ハイ」と微笑みながら声をかけてくれて心も暖まり、私はその後遅い晩ご飯を食べに外へと出ました。
ABBAの博物館はガムラスタンからおよそ2.5キロ程の距離、ユールゴーデン(Djurgarden)という島にあります。こちらも橋で繋がっていて、ユールゴーデンには2~3の博物館と共にストックホルム市民の憩いの場所、野外博物館「スカンセン」(Skansen)もあります。ABBAの博物館はスカンセン近くの奥に入った所にあり、入場は時間の予約制で私が予約したのは午後4時半、冬至を一ヶ月後にひかえた11月中旬のストックホルムの街は既に午後4時に暗くなりました。
博物館は4階建ての新築された建物、表側はホテル及びレストランで、少し引っ込んだ方が博物館への入り口になっていました。入り口のある1階は売店で色々な記念品やおみやげが売られていました。
売店の女性ボアさんに少し話を聞いてみました。訪問客は外国人が多く、アジア人では中国人より日本人が多いとの事、又土日には家族連れで賑わうとも話してくれました。ボアさんに「アグネータさん(ABBAのメンバー)の若い頃に似ていますね」と言ったらニッコリ、後ろのABBAの大きいポスターと共に写真を撮らせて貰いました。
ABBA博物館はメンバーのビョルン・ウルバースさんが中心に集め創りました。中の創作は抜群で、訪問者が自らABBAの世界に溶け込み入る感じで、子供達が音楽に合わせ踊っていたり、家族で録音吹き込みを試してみたりで、又あちらこちらでABBAのビデオと音楽が響きわたりとても華やかな世界でした。
つい最近のニュースでは、アグネータさんがインタビューで「来年は『恋のウォータールー』から40年目で、ABBA復活の話も出ている」と洩らし、大変話題になりました。もしかしたら来年は本物のABBAが博物館で歌うかもしれませんね。
2013年11月29日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰