第32号 シビックのりんご祭りとローフードレストランで舌鼓
今年も恒例のりんご祭り(Applemarkanaden)が9月下旬の28日(土)、29日(日)両日、スウェーデン東海岸の街シビック(Kivik)で開催されました。今年のりんご壁画の画名は、「極楽の二人」、アダムとエバのエデンでの生活、りんごの木の下での2人の様子が表現されていました。壁画の大きさは72m2、使用されたりんごの数は何と1万5千個!!それを支える為の釘の数が3万1千8百本です。画家のエンマ・カープ・ルンドストロームさん(Emma Karp Lundstrom)のコメントはエデンでの2人の様子、ものものしさ、憂鬱さをも表現したかったと記されていました。
今年のスウェーデンではりんごは豊作とも伝えられています。春の雨と共にとても暖かった夏が、りんごの成長にはとても良かったのでしょう。シビックのりんご祭り会場内で、採れたてのりんごをあちこちで試食しました。一緒に行った娘達はりんごハンバーグを食べたりで、全てがりんごの世界一色でした。帰り道は例年のように祭りの会場から2キロ程離れた、シビック果樹工場(Kiviks Musteri)へ立寄り新鮮なりんごジュース、ダンボール箱2個を買い、さらにシビックの街外れでりんご刈りをしました。5~6キロ程のりんごを収穫し家路へと着きました。海岸線から内陸部へのドライブ、シビック付近は南スウェーデンながら丘も多く奇麗な風景を楽しみながら家路へと着きました。
今回は先日スウェーデン第3の都市、マルメで食べた菜食レストランでの食事について書いてみましょう。筆者は肉、魚、野菜と何でも食べるのですが、最近の若い人達の中には菜食主義者が増えているようです。我が家でも家族全員6人の内2人は菜食主義で、家族数人揃っての外食、レストランでの食事では参加者に合わせます。
長女の紹介でマルメで1、2年程前に開店した Raw Food House(ローフードハウス)「生の食事の家」とでも訳すのでしょうか、生野菜のレストランでの食事をしました。小さなレストランで20人程しか座れず、我々5人が入った当時は何とか席が取れた状態でした。若い女性客が目立ち、男性も数人いてレジの女性は愛想が良く積極的でモダンな感じもしました。
レストランの名前が単に菜食と書かず「生」を入れたのは彼女の説明では、野菜を煮たり炒めたりせず、生で温めても最高温度46度までだそうです。スープは何度で温めていたのかは分かりませんが、生野菜が中心の料理です。私の注文したのはごま油をたっぷり使ったアジア風サラダです。見た目には前菜くらいの量でしたが意外とボリュームがあり、さらに堅いパンが付いていて満腹になりました。末娘が注文したのは、野菜サンドイッチとでも言うのでしょうか、盛りつけが奇麗で芸術作品とも感じました。中には記念のお菓子やケーキ等をギフトボックスに入れて貰い、プレゼントにするようでした。きっとプレゼントもポピュラーなのでしょう。
筆者は生水を飲みましたが中にはワインを飲んでいる人もいて、もしかしたら最近売り出されているエコーワインだったかもしれません。長女は食後コーヒーを頼み、レジの女性から「エコーコーヒーですよ」と言われ、舌鼓をしていました。
食事の後、外に出たらまだ午後5時前、太陽が輝いていて街なかとはいえ爽やかな秋晴れを感じ、こってりした肉料理の食後のように胃ももたれず身も心も軽く皆でマルメの街なかを雑談しながら歩きました。土曜日の午後とあって多くの家族連れも目立ち、何となく最後の夏の暖かさに人々は満悦しているようでした。
2013年10月12日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰