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第23号 大家具メーカー・イケア

クリスマスから年越し、正月があっという間に過ぎてしまいました。昨年のクリスマスイブは月曜日、そして元旦は1週間後の火曜日ということで、当地では多くの人達が1月6日の日曜日まで2週間の休みを取った様です。我が家でもクリスマスの2、3日は大人になった子供達全員が家に集まり、大いにに食べて飲んで賑やかに過ごしましたが、その後各々の在住地に戻り、ガランとした家の中で夫婦2人、休みを持て余したくらいでした。休日には近隣の町にちょっとドライブ、息抜きに行きました。マルカリド市から50キロ程東に行くと、隣りの町エルムフルト市(ÄLMHULT)に着きます。エルムフルトは世界的にも有名なスウェーデンを代表する大家具メーカー、イケア(IKEA)発祥の地です。今回はイケアについて書いてみましょう。

エルムフルト駅
エルムフルト駅

イケア最初の家具店がエルムフルト市にオープンしたのは1958年、すでに五十数年も前の事です。“イケア”の名前は創業者のイングヴァル・カンプラード(Ingvar Kamprad)の頭文字と、イングヴァル氏の生れ育った町、エルムタリド(Elmtaryd)とアグナリド(Agunaryd)の頭文字に由来し、1943年に社名が生まれました。イングヴァル氏が若干17歳の時です。現在スウェーデンだけでも全国に17軒のイケア家具店があり、全世界37カ国に合計で313店あります。日本でも2006年に第1号店が船橋市に開店、現在日本国内では7店舗が営業しています。

イケア家具店

エルムフルト市のイケア家具店は、昨年の11月2日に市の東側に新築開店しました。最初の土台堀りから完成まで9ヶ月と言うのですから、凄いスピードです。開店日には、86歳のイングヴァル氏も参加して、盛大に開店式が行われました。

12月7日、当地マルカリド市も含めたクロノベリ県の技術課会議が、新店のイケアの会議室を借りて行われ、筆者も市の代表として参加してきました。会議の途中で1時間程イケアの市場開発部長、髪の毛の薄い、わりと積極的な感じのするペーター・マグヌスソンさんがイケアの紹介と建物の案内をしてくれました。ペーターさんの部下は全世界に約300人いるとの事、我々役所の人間9人に説明し、質問にも答えてくれました。

建物見学、青い服がペーターさん
建物見学、青い服がペーターさん

ペーターさんの説明では、イケアが家具店を新地に建てる場合まず市場調査、新地の適正調査、交通機関、更に市役所との話し合いが行なわれるとの事でした。例えばスウェーデン国の場合、ほとんど在来デパートが現在市場から消滅しつつあるので、イケア家具店がデパートの代わりの役割も果たしつつある、との説明でした。店の寿命は約30~35年を見込んでいるとのことです。新築エルムフルト店の建物の広さは約4万m2(約1万3千坪)、年間の訪問客は約200万人と予想され、売り上げ高は相当な額になると思われます。

エルムフルトはイケア発祥地なだけに、新築された店も超モダンで、建物の外観は青と黄色が主で、スウェーデン国旗を思い出させます。エルムフルト市役所のマッツさんが「総工費は幾らですか?」と聞いたところ、「秘密です…」とのペーターさんからの答えでした。

店内には広々としたレストランやカッフェがあり、クリスマスも近くなったので、バイキング式のクリスマス食も用意されていました。店内の飾りもクリスマス色が強く、イケアがいかにスウェーデンの習慣を大事にしているか、また商売の上手さが感じられました。

クリスマスの飾りつけ
クリスマスの飾りつけ

エルムフルト市の人口は現在約1万5千人、エルムフルト市のイケアの従業員が約4千人、その内新築家具店で200人働いているので、エルムフルト市内にイケアの事務所、開発部、カタログ製造所等が広大に集っているとも言えます。日本の豊田市、トヨタ自動車と同じく、エルムフルト市をイケア市と名付けても良さそうな感じです。

創業者で億万長者のイングヴァル氏には現在息子さんが3人、奥様は一昨年亡くなられ、誰が後を継ぐのだろうかと巷ではささやかれています。

2013年1月19日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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