りんごの花が咲いたら...人工授粉開始
5月、青森県弘前市では桜の花の次にりんごの花が咲きます。
冬に行った、りんご農作業の最初の仕事と言われる「剪定(せんてい)」が終わり、春の訪れとともにりんごの花が咲くと、いよいよりんごは実りの秋に向けて成長を始めます。
農家さんではりんごの花が咲くと、人工授粉と摘花の作業が始まります。
今回は人工授粉の作業をご紹介します。
りんごは『他家結実』といって、自分の花粉では受粉せず、他品種の花粉で受粉・結実する性質を持っています。そのため、人の手やマメコバチによる授粉作業が行われます。
風やマメコバチによる自然交配が難しい畑では、人工的に授粉させる必要があるのです。
いつも農作業をご紹介いただいているこちらの農家さんでは、りんご畑をいくつか持っており、その中の一つに「ふじ」だけを植えている畑があります。交配用に「メイポール」という品種のりんごを植えて、マメコバチによる授粉も行っているのですが、自然交配が難しいため人工授粉の作業をしていました。
(右写真の濃いピンク色の花が「メイポール」)
人工授粉の方法は何通りかあるのですが、こちらの農家さんでは、昔ながらの耳かきのほわほわした部分のようなものを使用して、ひとつずつ手作業による授粉を行っています。
他には大きな刷毛のようなもので、枝全体に一気に花粉をつける方法もあるそうですが、すべての花が受粉してしまうため、摘果作業が大変になるとのことで、昔ながらの方法で行っているとおっしゃっていました。
最近では、農薬散布で使う「スプレーヤー」による人工授粉の方法もあります。
りんごの花は、芽から5~6つが放射状にまとまって咲き、最初に咲く中心部の花を『中心花』、少し遅れて咲く周りの花を『側花』といいます。その中心花に、花粉と、ピンク色の花粉増量剤というものを混ぜたものを付けていきます。
ひとつずつ丁寧にやさしくポンポンとつけていくと、白い花がピンク色になり花粉をつけたことがわかります。
マメコバチが使われるようになってから、効率よく授粉が行われるようになりましたが、それでもこうして手間ひまをかけてりんご栽培をしているんですね。
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